緊急事態発生!

パートナーから、突然メール。「頭が痛い」。いや、単に偏頭痛持ちなんです。ところがしばらくして続報。「救急車呼んだ」。へ?!
そこから、急転直下、頭がフル回転です。救急車を呼んだ→早く帰らないと→下手したら入院→片道1時間以上かかる勤務でどうやって子どもたちとの生活をするか。
とりあえず、放課後予定していた補習はキャンセルです。教室に行って「すまん、パートナーが救急車で運ばれた。だから今日の補習は中止。来週やるし」。続いて、今日出席予定だった宴会に欠席連絡。その後、バタバタと用事をこなして、帰る準備。つっても、なかなか出られないんですけど。4時半頃ようやくなんとかなりつつあった時に「点滴打ってずいぶんマシになった。帰ってええよと医者が言った」とのメール。一安心です。
でも、かなり遠い病院まで搬送されたので迎えに行く必要があります。とりあえず、勤務時間が住んだら速効帰宅。迎えに行きました。
「マジで、入院と思ったわ」とわたし。「わたしもそう思た」とパートナー。ふと5年前の悪夢をふたりで同時に思い出しました。いろんなことがあったなぁ…。
で、お家に帰ってきて晩ご飯。サクッとつくった野菜炒めをおかずに、家族4人で「カンパーイ」。今日も4人がそろって晩ご飯が食べられること*1、本当に感謝です。

*1:実は、パートナーが倒れていなければわたしは飲みに行っていたから3人だった・笑

越えた一線

いままでわたしは学校ではほとんど「カミングアウト」ということをしてきませんでした。もちろん「ほとんど」なんで、した人もいるんですけどね。した相手っていうと、例えば管理職*1、信頼できる教員*2、なんとなく気のあう生徒*3あたりでしょうか。こういう人たちって、たぶん「トランスであるかどうか」ということよりも手前のところでのつきあいがあるんじゃないかと思うんです。なので、トランスであることを話しても、とくに何かが変わるわけじゃないんです。
この間のフジテレビの時に、特にカミングアウトをしていない理由として「「トランスジェンダーのいつき」じゃなくて、「一人の教員としてのいつき」のひとつの属性としてトランスジェンダーがある」という感じのことを言いましたが、たぶんそのことだと思うのです。
ただ、ここ1〜2年くらいカミングアウトをしても変わらない人というか、生徒たちが増えてきたなぁという気がします。なので、去年担当した生徒たちには、1年間かけてゆっくりとゆる〜いカミングアウトをしてきました。
ゆる〜いカミングアウトというのは、「わたしはトランスジェンダーです」という言葉を使わないカミングアウト。既存の言葉に頼らずに、自分の生きてきた軌跡や自分が考えていること、自分が見る風景を伝えていくことかなぁ。そんなことを通して「わたし」という人間を伝えることができればなぁと。その先に、もしかしたら「トランス」という言葉が出てくるのかもしれないです。
まぁ、ヒントは学校中のあちこちにちりばめてあります。『婦人公論』のコピーとか『セクシュアルマイノリティ』は保健室にあるし、『30人…』は図書室にあるし。22年勤務している学校ですから、卒業アルバムを見ればわたしの変化は一目瞭然。なにより、生徒たちの前に「物体(笑)」が存在しています。わかる生徒にはわかると思うのですが…。
で、今年。まだ時期は6月です。まだまだゆっくりと子どもたちとつきあう時期だなぁとは思っていたのですが、今日は火曜日に時間割変更で授業に行ってもらった振り替えが返ってきた授業があって、しかも暑くて気が乗らない日。そこにたまたまフジテレビのDVDがあるという*4、これまたなんだかなぁな状態です。そういや、あの番組には生徒たちも登場しているんですよね。
てことで、暑いさなかの5時間目。25分ほどビデオ鑑賞会にしようかと。生徒に見せるのははじめてです。ビデオはおろか、その他諸々の情報は、これまで一切クラスの中で自分からは見せていないんです。どんなことになるかなぁ。
で、前半は「2次関数の標準形変形の確認テスト」です。その後、DVDスタート。
まずは「性同一性障害」というタイトルを見た瞬間、生徒たちは大爆笑です。「なんや!そっち系やったんかぁ!」。そうかやっぱりわかっていなかったか。まぁええけど(笑)。思うつぼやんけ。ところが、Sさんの場面になると、一同シーンと水を打ったように静まりかえります。思わず、「なんでわたしの時は爆笑で、Sさんの時は静かになんねん!」とツッコミを入れました。すると「だって、知ってる人が出たら笑うやん」。ごもっとも。やがて、ウチの学校の校舎がうつります。「おー!うつったぁ!」続いて補習のシーン。「あ、あれ、◯◯ちゃんや!」「あれ、オレ!」と大騒ぎです。その後も、みんなで爆笑しながら*5、あっという間に25分の番組終了。
わたしからの〆の言葉。「まぁそういうことや。でも、番組見せたんは、君たちがはじめてで、まだこうやってクラスで見せたこと、一回もないねん」「ほな先生は、ウチらのことを信頼してくれてんの?」「まぁな」で、チャイム。
さて、片づけじゃ。

*1:校長・副校長・事務長です。まぁ自分の身を守るためですね。

*2:一緒にいろんな活動をしている人とか、なんとなく気のあう教員とか、理解してくれそうな教員とか。

*3:なんというか…、ウマがあう生徒っているんですよね

*4:この間管理職に見せるためにかばんに入れていたままでした。

*5:Sさんのシーンはみんな静かです。例えば、性別欄に◯をするのを迷ってボールペンが漂うシーンなんかは「◯できひんにゃ…」「女に◯したらええのに」とつぶやいていました。