とにかくはずしちゃいけないのが、この店です。
はじめて行ったのはいつの頃だろう。とにかく、威勢のいいお母ちゃんが鉄板の前にデンと陣取っておられます。横のカウンターの中には配達担当のおばあちゃんとか、うどん関係担当のお兄さんとかがおられます。鉄板の前は4席。横のカウンターの前には2席。そして4人掛けのテーブルがひとつ。店の中はこれだけです。ただし、外で食べてもいいのならば、テラス(笑)がありますけどね。
ここの店は、ある程度気心が知れているので、いろんな話ができます。今回もお母ちゃんに
「このあたり、お好み屋さん、何軒くらいあります?」
と聞くと、商売敵であるにもかかわらず、
「あそこの団地の1階やろ。あそこの道の北っかわやろ…。この辺の店でわたしが行ってへんのは、たか橋のこっちのところだけや」
とあっさり教えてくださいました。このあたり、けっこうたくさんあるようです。でも続けて
「あぁ、やまもとマンボですよね。あそこ閉まってませんか?」
「そやねん。閉まってるねん。なんか、おっちゃんが具合悪いか死なはったかなんかやで」
「やっぱり…」
と、店のお兄ちゃんが乱入。
「せやなぁ、この辺の店もどんどん減ってきたわ。わしらが子どもの頃は、こんな店と違ごて普通の家の奥でもやってたもんな。よその人にはわからへん。それが最近は若いもんはみんな外に出て働いてるし、減る一方やな。この店も、あと数年とちゃうか」
んなさびしいことを!で、わたし
「そうでしょ?どこのムラでもどんどん減ってるんですわ。でも、お好みはムラのソウルフードですやんか。そやから、記録を残していかんとあかんと思ってるんですわ。ちなみに、この店ははじめっから5つ星って決まってますねん」
「そうか」
とちょっとうれしそう。
「ウチの店はな、みんなから「どなやってつくってんにゃ」て聞かれたらな、全部教えたんねん。この粉にもな、ちょっとだけ重曹が入ってるねん。そやからパリッと焼けんねん」
そうか。重曹を入れてるんだ!でも、続けて
「でな、家で焼いてきはるやろ。で、言わはんねん。「ウチで焼いたけどあかんかったわ」ってな。当たり前やんか。熱が違う。それにな、家で焼いたんといっしょやったら、店やって食べていけへんやろ」
そりゃ当たり前ですわ。
てなこと言っている最中に、お母ちゃんは手際よく粉をひいてキャベツとネギを乗せて行かれます。つまりベタ焼き系ですね。そして、トッピング(笑)は当然カス!こんな感じです。
店のテレビには、NHKが映っています。番組は、のど自慢。60過ぎのおっちゃんが「お嫁サンバ」を歌ってます。すげぇよ…。
と、間もなく焼きあがりました。栄養をつけるために、卵を落としてもらっています。
ソースは定番ですが、甘辛。つまり、まず甘口を塗って、その上から辛口を落とすようにしていきます*1。そして、粉がつおと青のりのふります。
一口食べると、マジでうまいです。なるほど、重曹の効果がバッチリ出ています。表面はパリっとしていて、中はキャベツの水分でトロリとしています。カスにあたると、しっかりとカスの味がします。久しぶりに来たけど、やっぱりここの味はええわ。
てことで、恒例のdata。
data
お好み焼き(カス) | 500円 |
瓶ビール350ml(笑) | 300円 |
生ビール(笑) | なし |
お茶 | 飲み放題 |
スタイル | ベタ焼き系 |
その他 | ベジタリアン用に「肉類一切なし、お新香入り」というのもやってくれます。450円でした。その他、「ベタ焼きだけやのうて、混ぜるヤツもやるで。客の注文にはよっぽどムチャを言われんかぎり応えるねん」とのお兄ちゃんの頼もしい言葉でした。 |
独断的評価 | ★★★★★(そら、文句なしですわ!) |