某中学で話

いや、とにかく担当の方が「うちの中学は、うちの県の中でぜったいに一番しんどい学校です」と胸をはって言っておられました。でも、ウチの子どもがかつて通っていた中学の教員も「うちの中学は、うちの府の中で一番学力が低い学校です」と胸をはって言っていたので、「まぁそんなもんだろう」と思っていたのですが…。
なるほど、みんなとても元気でした。
とにかく、突然鬼ごっこがはじまったり、突然生徒のマイクチェックが入ったり。後ろの方では車座になっている子らがいます。そのまた後ろには、ボンタンをはいてグラサンをしている子もいます。もちろん、きちんと座って聞いている子もいるんですけどね。
で、はじめはどうなることかと思ったのですが、だんだんと「なるほど」と思うようになってきました。車座になって遊んでいるふりをしながら、「ん?」と思ったところは聞いているんですね。チラリとそちらを見ると、目があうんです。ボンタンはいてグラサンをしている子、一番後ろからずっとわたしのほうを見ているんです。「こいつ、聞いてるわ…」というのが伝わってきます。
なんとなく、この子ら「聞いているふりして聞いてないヤツ」と違ごて、「聞いてないふりして聞いてるヤツ」なんやなぁというのが伝わってきました。
話が終わったら、とたんに20人ほどの生徒がわたしを取り囲みます。その後ろには、ボンタンの子。もう、関心がありまくりというのが伝わってきます。みんなと一緒に聞くのは苦手なんだけど、聞いていないというポーズをとらなくちゃならないんだけど、実は興味津々なんでしょうね。いろんな質問をしてきました。
そのあと、会議室にしばらくいると、またまた子どもたちがやってきます。はじめのうちは、トランスの話をしていたんですが、気がついたら部落の話。みんなムラの子みたいです。そうそう、話の最中に「この中にムラの子おるか?」と聞くと、何人か手をあげてたもんなぁ。えらい子らです。で、みんな「あの子のお姉ちゃんな、結婚差別におおて、わかれてん」みたいな話で盛りあがっています。と、そこへ担当の人。思わず「この子ら、みんなすばらしい教材やで、宝物やで!」と叫んでしまいました。
話そのものは、ちょっと息切れがしてしまって、きちんと伝えきれてませんでした。そのことが、みんなにほんとうに悪いなぁと思いました。

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