人間にとって文化とはなにか――ゴリラから見た人間社会

水曜日の授業は3・4のみです。なので、いろいろできる日です。でも、朝、なんとなくイヤな予感がしながら出勤。机のところに行くと、予感は的中してました。
「2時間目、会議、お願いします」
という紙と、午後の山極壽一講演会の実施要項が置かれてました。
てことは、空き時間は1時間目と放課後の1時間のみってことです。なにもできないな。てか、おべんと食べる時間もないんじゃないか?そういや、今日の昼休み中庭コンサートですよね。そもそも、今が短縮授業期間なのは、成績処理のためですよね。そんな日に午後全部がつぶれる行事を入れてどうすんねん。とにかく、ありとあらゆることがおかしい。
でも、しかたないです。
とりま、あちこちにメール送ったり、昨日のリアクションペーパーを入力したり、はたまた成績処理をしてみたり。始業前にできることをやり、1時間目にできることをやり、あとは会議と授業。しかし、授業の時間が一番楽だな。
幸いおべんとを食べる時間を若い衆がつくってくれたので、バババとかきこんで、中庭コンサートをチラリと見て、そのまま車に乗せてもらって校区のホールに移動。わたしの担当は駐輪場への誘導です。てか、辻々に教員が立ってます。これ、地域住民から苦情が出ないための交通整理です。
やがて最後尾の子どもがやってきて、用務終了。よほどこのまま職場に帰ろうかと思ったけど、ある生徒と
「センセイ、聞くのん?」
「どうしようかなと思ってる。聞いたほうがいいと思う?」
「うん」
という会話をしたので聞くことにしました。たぶん、明日の授業、講演の話からスタートするための伏線やな。
で、山極さんの講演。なんでも市民大学の講座も兼ねてるとかで、ホールは満席です。てか、あとからあとから入ってこられます。わたしの隣にあった空き席にも、講演中に「すみません」とお年寄りが入ってこられました。この人がうるさい。紙袋にものを入れたり出したり。てか、帽子がわたしのところにはみ出てるし。挙げ句、向こう隣の人に時間を聞くし。他にもあちこちでスマホの着信音が鳴るし。なんなんだ。
それはおいといて、山極さんの講演ですね。
ひとことで言うなら、カルチャー講座です。まぁ、そういう講演会だからそれでいいんです。
内容はサル・チンパンジー・ゴリラ・ヒトを比較することで、ヒトの特徴を明確化する。それが「共に食べる」ことと「共に保育をする」ことらしいです。そうなったのは必然がある。草原の中で生活するとそこは敵だらけです。必然的に「強いもの」が食べ物をとってきて弱いものにわけあたえることになる。だから「共に食べる」。さらに敵に子どもを殺されるから多産になる。そのためには早く離乳しなくちゃならない。離乳した子どもをほっとけないから「共に保育する」。したがって、生殖にかかわらない年代も長生きする必然が出てくる。こうやって「共に」がヒトの特徴だけと、現代は「共に」ではない方向へと向かっている。それは、ヒトのもうひとつの特徴である「長距離移動」とかかわってくる。ただそれが極端にまで進行している。
そんな世界でどうするかって話です。
まぁいろんなことをすっ飛ばすと、最後のスライドは「ここに来たか」でした。それは「コモンズ」と「シェア」。例えば移動が前提になると、所有するものが減る。そうするとシェアやコモンズが必要になる。さらに所有の価値がなくなっていき、価値は行為へと移行する。
まぁそれはそうですね。ただ、その「コモンズ」にかかわって、皆保険とか大学無償化とかが書いてあって、それはおもしろかったですね。それが「ここに来たか」です。
山極さんって、たしか、吉田寮のこととか立て看のこととか、いろいろアカンことをやったって印象ですが、こういう側面もあるんだなと思ったり、まぁでも大学人としては当たり前かと思ったり。

夜は4人のおべんきょ会。わたしからはまだペーパーは出せません。理由は2つで、ネタがないことと時間がないことです。ただ、他の人たちがいろいろ出してくれたことで、ネタはできてきました。あとは時間やな。
しかし、今週は忙しいな…。さすがに疲れてきた。

子どもたちの力を引き出す

今日は午前に会議の出張があります。なので、朝は少しゆっくり。せっかくなのでテレビをつけてみると、やはり安倍元首相銃殺事件のことが話題になってます。が、昨日あったらしい統一教会のことが話題になってて、これは容疑者の意志とは別に、ピンポイントでえらいところを突いたなと。当然のことながら、政府もマスコミも他にいろいろ話題を出してきてもみ消しにかかるんだろうけど、もみ消しきれなくなったときは、意外な展開があるかもねと。

で、午前の会議。差別をなくすための教育をどうするかって話なんですが。
おもしろかったのは、先輩が
「みんな渋染一揆、好きやな。なんでやるの?」
と問いかけたこと。みんなそれを「やっちゃいけない」と誤解をしてるんだけど、そういうことじゃないです。その「なんでやるの?」の「なんで」に答えられなきゃならんよって話です。でないと、ただやってることになる。
わたしの部落差別の授業には、水平社宣言は出てきません。なぜなら不要だからです。わたしがやりたいのは社会構造の問題です。その社会構造は多くの人によってつくられてます。だから「人」は登場しない。ただ、その社会構造に異議申し立てした人もまた存在します。そのひとつのトピックとして、「抗う人がいた」とは出します。まぁもともとはなかったんですけどね。
で、渋染一揆とか水平社宣言とかの話に引っ掛けて、わたしからもひとこと。
「みなさん、ヒーローが好きですね」
と。なんか、差別と闘うのは特殊なすごい人ってイメージがつくられるのがイヤなんですよね。そうじゃなくて、差別との闘いは日々の実践によって達成されると考えています。だから、あまりヒーローをつくりたくない。結局タニンゴトになってしまいますからね。
まぁ、そんな話。
会議が終わったら職場へ。だけれども、メッチャ体調が悪いです。何をする気も起きない。なので、思い切って労働者の権利を行使。
家に帰って自作の割干しを炊いてみたり。
で、時間が来たので夜の仕事へ。

今日と次回はすぐれた実践の映像を見ます。ちなみに、生野南小学校や大空小学校の実践を見ましたが、あれはやはり生徒指導のまとめなんですね。今回と次回は高校の実践を見てもらおうと思ってますが、そのためには進路指導とかキャリア教育とかをやっておかないと理解できない。なので、前回キャリア教育について一席ぶったのでした。
今日、どの映像を見せようかと思ったけど、ここは松原高校の課題研究やなと。
まずは松原高校がどういう学校かってことを紹介せねばなりません。なので、この写真を見せてみたり。あとは地元集中受験のこととか準高生のこととか。自立支援コースの話も大切ですね。
いや、すごいわ。映像に引き込まれます。とにかく生徒が自分自身の過去と対峙します。教員はひたすら見守る。もちろん生徒はその過去から逃げたくなる時がある。そこで教員の出番です。
「逃げないでおこう。続けよう」
それだけです。でも、もともと逃げちゃダメだと生徒も思ってる。だから、そのひとことで充分なんですね。そしてなにより教員が見守ってるってことが大切です。そうやって子どもたちの力を引き出す。
課題研究って、そういうことをやるための「仕組み」なんですね。で、そこへ至るための「仕掛け」は入学直後からはじまります。「学級開き」「HR合宿」がそれです。サイトを見ると、トップページにフラフープをつかったワークの写真が出てきます。まぁそんなことを山のようにやってるからこそのあの実践なんですね。
そしてなにより「自己開示」です。それができるのは、さまざまな仕掛けや仕組みを経て得る「安心」なんですね。そうやって、自分の過去と対峙し、それを語り、今の自分を見つめる。未来はその結果として先にある。それがキャリア教育であると考えたとき、世に数多あるキャリア教育のなんと薄っぺらなことよ。もちろん自分のことを棚に上げての話ですけどね(笑)。
そうそう、映像の中で、ある生徒が
「松高生だからいじめをせえへんとか、絶対ない」
って言ってたけど、これもすごい話です。だって、「松高生ならいじめはしない」というふうに周囲から思われ、自らも思っていることが前提にあるからですよね。
知らず知らずに涙が出てしまう、ほんとうにすごい映像でした。終わったあとのディスカッションもおもしろかった。みなさんに「感想ではなく分析的に」と注文を出したら、ほんとうにそうやってくれました。すぐれた実践を知ることで、教員という仕事がどういうものであるかということへのヒントが得られたらいいな。
次回は西成高校ですよ。
さぁ、ようやく今日が終わった。帰ってビールだな。

謀議

ずっと8000字と思っていたおべんきょ成果が、実は4000〜4800とわかって、ホッとした昨日の夜でした。なので、今日の空き時間はそいつをやっつけようかと。
とは言え、授業はあるわけです。当然のことながら、授業の冒頭は今週末の話です。が、片方のクラスが授業開始時に私語をしてます。
「あのなぁ。金曜日と日曜日に何があったかわかってるやろ?そしたら、月曜日の授業は雑談からはじまるってわかるやん。そやのに、私語をするってなんやねん」
と言うと
「そやったぁ、しもた。ついやってもたぁ」
とメッチャ反省してくれたので、雑談開始。

これ、小選挙区の地図な。憲法を変えたい人たちはこの色な。変えたらあかんと思ってる人はこの色な。そしたら、関西以西で憲法を変えたらあかんと思ってる人はほとんどいいひんやろ。
そもそも憲法って誰を縛ってるかというと、権力やねん。逆にわたしたちを守ってくれてるもんやねん。ちなみに、わたしは公務員やからね。公務員は憲法を守る義務がある。だから、憲法の話をするのはわたしの仕事やねん。
で、例えばな、この教室の風景って異常やねん。だって、16〜7の若者30人を前にわたしがしゃべってる。みんなおとなしく話を聞いてる。普通では考えられないことがなぜ起こってるかというと、教員と生徒って関係があるからやねん。
実は教員って絶大な権力を生徒に対して持ってるねん。それは評価権ってやつやねん。君たちの6単位の合否をわたしが決められるねん。例えば、「こいつ気に入らへんし、落としたれ」って、やろうと思えばできるねん。でもな、それがそう簡単にできないように、教科の会議とか職員会議とかでチェックしてるねん。そういうややこしいめんどくさい手続きをとることで、勝手に成績がつけられないようにしてるねん。
憲法を変えるってことは、そういうチェックができなくなるねん。で、それを「縛られてる側」が言うわけで、それはものすごくこわいことやねん。
ここにいる人は、わたしが把握している限り全員日本国籍だから、18歳になったら選挙権が与えられる。ただ、ほんとうは与えられるんじゃなくて、勝ち取ったんだよ。かつては税金をたくさん納めてる人しか与えられなかった。でも、それはアカンやろということで、税金は関係なくなった。でも、日本人の半分しか選挙権はなかった。なぜなら女性には選挙権がなかったから。そして戦後に女性も選挙権をかちとった。そうやって勝ち取った選挙権を適切に行使してね。
では、授業をしよう。

授業のあと、印刷室で若い衆と会話。
い「昔、生徒から「政治家にならへんの?」って言われたことがあったわ」
若「センセイ、地味やし(笑)」
たしかに。
午後は少しおべんきょ。とにかくカットカットです。が、やはり完成はせんわな(笑)。

定時に退勤して京都駅へ。今日はF澤さんと謀議です。しかし、F澤さんって、とある組織の中央の人で、考えようによっては雲の上の人なんだけど、なぜかこんな感じで謀議をしたりしてるわけで、よくわかんないです。やがてAっちゃんとHるさんが合流。ここからは、なんかもう、話が入り乱れて、なにがなんだか。
まぁでも、謀議は少しはできたから、よしとしましょうか。

分析的に振り返る

ようやく来た金曜日です。しかも、今日からしばらくは短縮授業。さてさて、どうするか。
まずは試験返しです。ふだんは試験を返したらすぐに授業をするけど、今回はなんとなくそういう気になりません。このまま授業をやっても、同じことの繰り返しになります。そうだ、紙を配ろう。

紙を横向けに置いて、右下に名前ね。それから、紙を縦横に4等分してね。
左上に「1学期を振り返って」の文章を書く。右上には「2学期へ向けて」の文章を書く。ただし、「感想」はダメ。分析的に書く。「勉強しなかった」「勉強する」は感想。そんなんじゃダメ。うまくいった人は、なぜうまくいったのか。うまくいかなかった人は、なぜうまくいかなかったのか。それが分析できたら、自ずと右側に書くことが決まる。そうやって、分析的に書こう。
書けたら、今度は下半分。ここには集団としての君たちのことを書く。みんな教え合いをしたよね。なのにヒーローが出ることを許してしまった。それはなぜだったのか、どうすればいいのかを、みんなでディスカッションして、その内容を書こう。はい、じゃぁ動いて。

職員室にもどって読んでみると、いろいろ書いてますね。もちろん、分析的ではない子もいるけど、それはそれ。考えること、書くことが大切です。
てことで、4時間目のクラスでも同じことをやってみました。
授業から帰ってくると、いきなり若い衆から
「安倍さんが撃たれた」
と教えてもらいました。
とっさに「あー」と思いました。
これで、一気に参院選の流れが変わるな。そして、改憲へと動くな。そうやって、「死」は利用されるな。そしてもうひとつ。これですべてがうやむやになるな。いや、うやむやにするだろうな。教育基本法を改悪したことも、安保法制の強行採決も、日韓関係を悪化させたことも、アベノミクスで格差を拡大させたことも、そして森友も、加計も、桜も、なにもかも。暗澹たる気持ちになります。
とりあえず、4時間目のクラスのペーパーを読んで気持ちを「平常」にもどそう。
家に帰ってもテレビはひたすら「暗殺事件」です。見る気が起きない。どうせこの後は「功績」だらけなんだろうな。そうやってうやむやにする。
こんな時は「鉄腕ダッシュ」だな。そしてさっさと寝るに限る。

切れ目ない1日

朝起きたら7時前。それはかまいません。なにせ、今日は午前も午後も出張ですから。
てことで、8時スタート。まずは恒例の病院です。今日はレントゲンがないのでさっくり終わるはずです。診察が終わったら、そのまま山間の町へ。この町に行くためにはいくつかのルートがありますが、一番早いのは第2のふるさとからの山越えです。そこそこ走り慣れた道を快適に走ります。路面が濡れているから、スリップだけは注意しましょう。で、40分ばっかで到着。間にあいました。
午前の会議は中高連携です。生徒の情報を共有したり、はたまた人権教育の情報を共有したり。こういうの、ものすごく大切です。だって、世界人権宣言の授業ひとつとっても
「中学校でやったよね?忘れた?OK。じゃ、もう一回やって思いだそう」
って言えます。
午前の会議が終わったら、少し地域の集会所によってごあいさつ。なにせ、今年度は年度当初に突然やってきて、そこからバタバタで、ごあいさつができていません。ここで、10分ほどムダ話。でも、このムダがのちのち生きてくるかもしれません。まぁそんなことはないほうがいいのですが…。
で、午後の会議の前にどこで昼ごはんを食べようかと。どこかラーメン…。そうだ!お好み焼き屋さんがあった!
ということで、お好み焼き屋さんへ。あいてました。てことで、詳細はこちらに書くことにしましょう。
午後の会議は京都府南部の人権教育担当者の会議です。会場は、京都府最南端の支援学校。
ここ、昨年度まで定員の120%くらいの生徒さんがおられて、えらいことになっていたところです。それが今年度から新しい支援学校ができて、ようやくひと息つけたんだとか。まぁいろいろモヤるところではありますが、まぁそういうことです。そうそう、支援学校って、地域や他校との交流を大切にしておられます。それそのものはいいことだと思うのですが、それは裏を返せば、日常の交流かないということをあらわしています。そんなことを考えながら、支援学校の中を見学し、やがて会議へ。
会議の方は、いつもの通り、なにがなんということもなく、仲良く終了。
さてと、ここから再び移動です。夜の仕事に行くためには、ここから最速で帰らなければなりません。そのためには高速道路一択です。幸い近くにICがあるので、そこから乗って、一路京都市内へ。京都駅近くに車を置いて、京都駅へ。おぉ、いつもの時間の新快速に間に合いました。台風も近づいているけど、特に遅延もありません。
で、夜の仕事の場所へ。
今日の内容は「キャリア教育」です。テキストは「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」です。まずは前段として、横山明子, 2019, 『生徒指導・進路指導・キャリア教育論 主体的な生き方を育むための理論と実践』教育図書を使って、進路指導やキャリア教育の歴史についてざっと話をします。ただ、ここに書いてあることを鵜呑みにしてはいけません。なので、ところどころでコメントを入れます。例えば、1980年代の「教育の荒廃」という記述がありました。でも、その荒廃はなにによってもたらされたのか。そこには「今日もあの子が机にいない」から「非行は教育の宝」へと至る道筋があった。そして、その後輩は社会のありようを映す鏡だったはずです。でも、そういう観点では書かれていない。だから、そういう話をコメントしなきゃならない。さらに、報告書に関してもキャリア教育が必要となる背景が書いてあります。はっきり言って、あれ、目の前の学生さんたちのことを書いてあるわけです。ひでぇよ。しかも、その背景にある社会についても書いてあるけど、そんなの子どもたちになんの責任もありません。子どもたちに「キャリア教育」とか「e-ポートフォリオ」とか言う前に、まずは今の人財を使い捨てにする社会を変えろよと。とにかくてっぺんに来る内容がてんこ盛りです。さらに、生徒指導提要にも報告書にも「生きる力」とか書いてあります。そんなの、わたしらずっと前から言ってきたよ。それは「受験の学力か解放の学力か」論争をアウフヘーベンしたところにあったものですよ。それは、被差別の立場に置かれた子どもたちが自身の生きざまを通してつくりあげてきた言葉ですよ。そういうのをさらっとかすめ取って、ちょこんと置く。怒りしかない。まぁそんなのをぶつける、暑い90分になってしまいました。アカンなぁ。
その後、せっかくなので、近くで1杯。
ポテサラ頼んだら、出てきたのはこれ。

自分でつくれと(笑)

ありがとうございます。
しかし、「シャリキン」って初めて知りました。

切れ目ない1日は、おいしいビール&シャリキンとおいしい話で締めくくられました。

雑談したり修理に出したり

昨日職会があったから読めなかった作文、今日読まねば。ということで、職朝が終わったら読み開始。
多様性ワークショップの感想はおもしろいです。カードにプラスして、担任さんがどんな話題を出したかがよくわかります。やはり左利きの話はわかりやすいみたいです。右利きの子が「知らなかった」というところから考えを深めてくれるのがいい。さらに左利きの子がそれを当たり前とうけとめていたところから変化するのもおもしろい。同性婚の話をとりあげた担任さんもおられました。
大きなところからではなく、小さなところから。でも、心がけの問題にするのではなく、制度や構造の問題としてとらえる。そんなことをすべての生徒がやってるわけではいけど、逆に少しでもいてくれたらうれしいな。
そんな中、「多様性は大切だけど、マイノリティへの配慮を求めすぎて、それが特権になるのはいけない」みたいなことを書いてる子がいました。たまたま知ってる子だったので、話をしに行きました。
「例えばね、女性専用車両だけどね。女性は痴漢にあう確率が男性より高い。もちろん男性も痴漢にあう可能性はあるけど、やはり女性のほうが高い。そうすると、安心して電車に乗れない。つまり、男性は安心して電車に乗れるという特権をすでに持っていると考える。そして、その権利を保障するために女性専用車両があると考える。そうすればそれは「女性の特権」ではないよね」
それは了解らしいです。ただ、ネットを見ていたら、あまりにもやり過ぎのことがあるんだとか。
「きみがどんな情報を得ているかは知らないけど、時間の流れでとらえなきゃならないこともあるよ。例えば、今度の参議院選挙で女性の立候補者を全体の2/3にしなきゃならないみたいなことがあったとしよう。それそのものは「やりすぎ」ってなるかもしれない。でもね、今の国会議員の男女比を考えると、その格差を是正するためにはそういうことをしないとダメだったりする。時間の流れとはそういうことだよ」
ここでチャイムが鳴ったので終了。
なんかヤバイ感じなんですよね。おそらく正義感が強い。だからこそ、そっちへ引っ張られそうな感じがします。
で、授業。去年もやったけど、今年もやりましょう。
「みなさーん、今日はなんの日か知ってますかー?」
誕生日とかが出てくるのはお約束です。
「今日は沖縄慰霊の日ですよー」
そこから、スクリーンに地図を映して沖縄戦の話。

ここ、比謝川からアメリカ軍は上陸してね、北谷の飛行場まで行く。多勢に無勢なので日本軍は逃げようとするけど、大本営から「守れ」という命令が来る。大本営は東京にある。そこからのひとこと。でも、現地の人は闘わなきゃならない。そして人が死ぬ。それはウクライナの今の状況と同じだね。そこから嘉数高台で激戦がある。さらにシュガーローフで激戦ある。そこが首里城を守るための最終ラインだった。シュガーローフが落ちたとき、第32軍司令部で司令官が自殺する。そこで沖縄戦が終わったとされている。これが6月23日なんだ。でも、実はそれからも地上戦は続く。なぜなら、司令官は「戦争をやめよう」と言わなかったから。そうやって人々はどんどん南へと追いやられ、摩文仁の丘にたどりつき、ここでたくさんの人がなくなったんだよ。

そんな話をしたあと、最後にひとこと。

今日が沖縄慰霊の日であることは、沖縄の高校生はみんな知っている。でも、内地の高校生はほとんど知らない。なんでだろうね?今日、わたし以外に5人の教員が君たちに授業をする。その中の誰が沖縄慰霊の日の話をするか、あるいは来年の6月23日に誰かがするかどうか、あるいはれまでの授業で誰かがしたか。もしもしなかったとしたら、なんでだろうね。
さぁ、プリントやろうか。

授業が終わったら、ひたすら入力。2時間ばっかやったら終わりました。1学年分の作文読みと入力を半日で終えたことになります。ひでぇな。
放課後はリハビリ。メッチャストレッチかけられました。でも、よく曲がるようになりました。
帰り道、ジーンズのリペアショップへ。今までだったら擦り切れたジーンズをそのまま履き続けて、そのうち破れてもしばらく履くけど、やがて履かなくなるという感じでした。でも、お気に入りのジーンズが履けなくなるのは悲しい。そこで、リペアして長く履こうかなと。
見積もりは片足2000円。なので、1本4000円。2本持っていったので8000円。これを高いと見るか安いと見るか。まぁでも、大切に履きたいってことなのです。これで延命できたら安いかな。
さて、いろいろあった日だ。帰ってビール。

なにから書くか

今日は突発的に午前に用事ができてしまい、半日つぶれてしまいました。まぁでも用事ができたのはできたわけで、それは大きいかな。昼ごはんは上の子どもがつくってくれた牛すね肉のカレー。濃厚としかいいようがありません。うまいけど重い。重いけどうまい。
さて、午後イチは組版です。ひとり「書き直しました」という方がおられて、呆然とするなど。まぁ、オペレーターのことはわからんだろうからこうなるんでしょうけど、書き直しはそのまま組み直しなんで、前に組んだ時間がムダになるんですよね。地味に悲しい。
それにしてもゲンコが来ないな。〆切はこないだの金曜日だったんだけどな。まぁみんな無視ですね。そのぶん、わたしの首が締まるんだけど、みなさんにとってはタニンゴトかな(笑)。
おそらくみなさん、ゲンコを出したら完成と思っておられるんだろうけど、そこから組版→校正→修正→入稿→印刷→製本→発送とあるんですよね。ゲンコはその最上流なので、ここが遅れるとすべてが遅れていきます。ついでに言うと、ひとつゲンコがないだけでページ数が定まらなくなるから、入稿できません。
まぁでも、こんなことふつうは知らんわな。だからわたしはゲンコの〆切を守るし、ムリな時は「デッドラインはいつですか?」と聞いて、それには間にあわせるんですけどね。要は、自分の都合ではなく編集される方の都合にあわせる。そうすれば、編集者は「いつ来るんだろう」と思わなくていいから安心できる。
いろんなことをやるのって大切だな。
さて、考えてもしかたないから、とりまゲンコを書こう。どのゲンコにする?とりま、書籍化を含め、3本あります。ひとつはもちろん毎月書いてるヤツ、もうひとつは頼まれゲンコです。そういや、もう1本あるはずだけど、依頼文が来ないな。
てことで、毎月のやつに着手しました。今回は「あれ」にしようと思って、少し書きかけてました。その先をポチポチ書き足します。
それにしても、ほんとうにいろんな人との出会いで認識を変えてもらったなと、あらためて思います。今回もそういう内容です。で、変えてもらったら、それにもとづいて実践する。それの繰り返しですね。
そう言えば、facebookに書かれたあるコメントに触発されて

ふだんマイノリティが(社会構造的に)されていることを、たまたまマイノリティからされたマジョリティが「差別された」って言うの、よくあるよなぁ。
なぜそこで「マイノリティって普段こんな経験をしてるんだ」ってならないのか、よくわからん。

って書いたんだけど、まぁそういうことですわ。
と、涼しくなってきたので、走りに行きましょう。今日は少し身体が重い。カレーのせいか(笑)?それでも結局1kmが6分46秒で5km走りました。たぶん身体へのダメージはあるんだろうな。
帰ってきてシャワーを浴びたら、再びゲンコです。溢れたら削り、足りなくなったら書く。それを2時間ほど繰り返すと、とりあえずはできたかな。まぁでも寝かせなきゃなりません。あとは明日です。今日はビールだ。

顔が輝く

昨日は少し飲みすぎたかな。そんな朝は、職場の近くの自販機でジャングルマンを買ってしまいます。
で、出勤すると、机の上に人権教育だよりがありました。若い衆がつくってくれたんですね。今忙しいときだから、がんばってくれたんやなぁ。とりま校正だな。と思ったら、要さんが立候補するという情報が。動画がいいな。生徒に見せたいな。
てことで授業の時間になりました。ふとめんどくさいことになるかもしれんなと思ったけど、友だちだからええかと。ところが、facebookがつながらない。しかたなく断念です。
不等式のあらわす領域だけど、それ以前の問題として図が描けない。いや、直線と円しかないんだけど、描けない。図を描く経験がないのかなぁ。
とか思いながら、前にいる子を見たら、膝に絆創膏を貼ってます。
「どうしたん?」
「自転車でスライドしてコケた」
「骨折しなくてよかったね」
とか話をしてたのですが、突然
「モトGPとか膝どころか肘擦ってるし」
とか話してしまって、しばし動画鑑賞(笑)。
ICTは便利だわ。
授業から帰ってきたら、まずは残ったひとクラスの入力です。えいやと終えて、担任さんに作文を返しに行って。これが来週、あと1回あるんだな。メールチェックをするとレポートが来てたので、組版です。あっという間に終了。
そしてもうひとつのクラスへ。
「やっと金曜日が来たね。休めるね」
と言ったけど、ん?と思って、前の生徒に
「放課後はクラブ?」
と聞くと、うんとうなずきます。
「土曜日もクラブ?」
うん。
「日曜日もクラブ?」
うん。
これはアカンな。
「きみらな、子どもの権利条約って知ってる」
知らないらしいです。なので急遽サイトを探しました。
「これな。第31条(休み、遊ぶ権利)「 子どもは、休んだり、遊んだり、文化芸術活動に参加する権利をもっています」
その瞬間、隣同士の生徒が顔を見合わせて
「おい、権利があるんや」
とか話しながら、すんごい笑顔になりました。
「知らんかった?」
うん。
「きみらには権利があるんやで」
と言うと、パッと顔が輝きました。
おそらく「休む権利」があっても、今日も明日も明後日もクラブをするんだろうな。でも、権利があることを知ってクラブをするのと、権利があることを知らずにクラブをするのは、きっと違うはずです。なぜなら、権利があることを知っていれば、クラブをすることは自分の選択になるからです。
問題は、そういう権利を教えてこなかったわたしたちなんですよね。そんなことを考えながら授業は終了。
午後は授業なし。なにをしようかな。ダメだ。なにかをする気になれない。おそらく今週走り続けてきた疲れが、ここに来たのかな。がくんとペースが落ちました。
放課後は30分走。そんなにペースはあがらないけど、そのほうがいいです。汗をかいたから、今日のビールはうまいはずです。

ヤクゲトとかなんで閉校やねんとか

今日は久しぶりのヤクゲトの日です。しょっちゅう貼り忘れるので、常に在庫がある状態ではあるのですが、さすがに当初の予定より1ヶ月半近くうしろにずらしたので、在庫が底をつきかけてました。ちなみに、なぜうしろにずらしたかというと、もちろん骨折からの通院があるからです。そこへもってきて、火曜日の午前にガンガン出張が入ってきて、身動きがとれなくなってしまってました。
てことで、朝は少しゆっくり目。
頃合いがいいところでお医者さんへ。この間の血液検査の結果を見せたら
「うん、いいね」
と。あとは血圧ですね。
「老化した血管は元にはもどらないから」
と言いながらも
「お酒と塩分を控え目に」
と言われてしまいました。塩分は控えてるけどなぁ。
で、3ヶ月分のヤクをいただいて終了。

午後は某人権教育研究会の会議です。
京都府は5つのブロックにわかれて活動してますが、とあるブロックはたいへんだな。行かなくてよかったと、あらためて思います。でも、それに乗じていろいろ主張してみたり。もちろん、自分の主義主張なんかじゃありません。ひたすら、外国人の子どもたちの就修学の保障のためです。そのためには言わなくちゃならないことは言い、やらなきゃならないことをやる。そしてなにより、ためになったりおもしろかったりすることが大切です。子どもたちにかかわっている人が、ほんとうに限界でがんばっておられるがゆえにわからなくなることがある。わたしは幸か不幸かそういう状態ではない。だから、限界でがんばってる人の状況はわからない。でも、だからわかることがある。それぞれの立場の人が互いにできることを交換することが大切かなと。
そんな感じで会議も終了。すみやかに夜の仕事へ向けて移動開始です。

今日の夜の仕事のテーマは「動画鑑賞」です。
ここまで輪読しながらいろんなことを学んできました。それは参加されてるみなさんだけでなく、わたしもまた学んできました。なので、そういう学びを通して得たセンサーを使って動画を見る。
動画は「生野南小学校の生きる教育」です。どの番組もだけど、この番組にもこれまで学んだことがてんこ盛りです。それを単に「すごいなぁ」という見方で見るんじゃなく、分析的に見るという試みです。
番組を見たあとは、まずは自分とのディスカッション。そして、グループディスカッションとシェア。自己開示もあったし、いろんな意見が出てきておもしろかったですね。
ただ、できればもうひとふんばりしてほしいな。来週の動画も決めてます。わかってくれるかな。
しかし、こんなすごい実践をしている学校が、この3月に閉校になってたとは…。そりゃ、人数が少ないのはわかる。でも、予算の使い方はカジノとかじゃなくて教育だろうと思います。未来への投資をせずに、自分のまわりへの投資をし、しかもその資金はこれまで大切に培ってきた財産の切り売り。わたしはそんなのあかんやろうと思うけど、どうやらこの国ではそういうのがウケるらしいな。

感想文にまみれる

朝、猛烈に眠いです。でも、今日に夕方リハビリがあるので、その分仕事を詰めないと、あとがえらいことになります。
1時間目は空き時間。ここで2時間目の準備と作文読み。意外なほど「寝た子を起こすな」が少ないです。というか、小さい頃に親から言われたことを思い出して「あれが差別だったのか」という感想を書いてくる子がいたりして、なかなかおもしろいです。
2時間目は授業公開。と言っても、どうせふだんからフルオープンにしているので、特に何がどうということもありません。やる気のないだるい授業が変わるわけでもないです。なんか、支店長と副支店長もやってきて、どうなんねん。ただ、忘れ物のヒモと物差しを職員室に取りに行ったり、本当にふだん授業のことを考えていないことが丸わかりになったかな。
ここで授業は一息。なので、作文読みの再開です。一応質問も書いてもらっているけど、あまりにも多くて答えるのは不可能かな。ただ、おもしろいのがありました。
「センセイは部落差別はなくなると思いますか?」
定番の質問ですが、これは答えなきゃならないかな。「なくなる/なくならない」ではなく「なくし続ける」なんですよね。それは「いつきさんにとっての理想の社会ってなんですか?」と同じです。そんなもん、ないです。ただ「よりマシな社会」を追い求めて右往左往するだけのことです。
もうひとつ
「人権学習では部落差別について聞くけど、それ以外の時間には聞かない。現実にあるの?」
これはもう、わたしの授業を受けていたらあり得ない話です。だって、角打ちの話をしたら自動的に部落や在日の話になりますからね。わたしはそういう世界で生きている。だから、部落や在日やセクマイは日常会話です。でも、圧倒的多数の教員はそういう世界には生きていない。てか、生徒もそうですね。そういう世界に生きていない。だから日常会話の中には出てこない。ただ、出てくる時はある。でも、その時は「部落」という形をとらず「あそこ」という形で出てくる。だから、わからない。でもまぁ、考えようによっては、あからさまに「部落」という言葉を使えないところまでは押し込んできたってことでもあるかな。
作文読みが終わったら、生徒に許可をとりに行きます。もちろん全員ではないけど、プライベートなことを書いてくれた子には許可をとりに行かなきゃならんかなと。
い「あれ、載せてええやろ」
生「えー」
い「かまへんやん」
生「しゃーないは、載せさせたるわ」
い「ありがと」
これでOK(笑)。
さて、音声入力の開始です。早いし楽です。これがあるおかげで、子どもたちの感想文をその週のうちに担任さんに返せます。
で、午後の授業。猛烈に眠いです。でも、生徒も眠そうです。なので、授業の半分はプリントです。
授業が終わったら、そのままリハビリへ。今週はセルフリハビリやる時間がほとんどなかったからなぁ。作業療法士さん、相変わらず攻めてこられます。いてててて。でも、随分と動くようになりました。
帰りに実家に寄ってwifiのセッティング。APモードにしなきゃならないかと思いきや、あっさりとつながってしまい、戸惑うなど。二重ルーター問題はどこに行ったんだろう。てか、あれ、ルーターが入ってないのか?謎は深まるばかりですが、まぁつながったからよしとしましょう。
さぁ、長い1日が終わりました。あとはお風呂とビールを残すだけです。