先日、「卒業論文の発表会をやるから来ませんか?」というお誘いのメールが来ました。
「だれの卒業論文やねん」と思っていたら、かつて刺激的な呑み会を演出して下さった、山崎一樹さんの卒業論文でした。
なんの卒業かというと、史上最速の卒業らしいです。
「京都の過去・現在・未来」と題する卒業論文は
落ち込んでいる時に「あなたの責任じゃない」と言われるとホッとするが、そのことによって再生のパワーを失う。
人は見ようとする現実しか見ない。
(内容はうろ覚え)
という、きわめて含蓄の深い話からはじまります。で、まさにこれが京都人の現在であると。
元来、財政面での自治というのは「歳出の自治*1」と「歳入の自治」がひつようである。にもかかわらず、京都市は両方ともダメ。
曰く「京都人は他者に依存し、責任を他に押しつける」「その根底にあるのは、京都は特別という考えだが、実は特別ではない」「1200年の中で培われてきたものは枯渇している」。言いたい放題です。でもまぁ、その通りですが(笑)。
で、結論としては「10年前の時点で、まちづくりに失敗した」と。
ここからは「未来」ということで、「環境」「文化」「多様性」をキーワードに京都の新しいまちづくりを考えていこうという話になります。
環境の中のひとつのネタがめまぐるしい午後に行った自転車街角セッションだったみたいです。で、これはより大きくは、京都の街全体を3層にわけて考える。いわゆる「田の字地区」とその周辺の「住宅地区」、さらにその外周の「自然の地区」。ところが、「自然の地区」が荒れ放題。その原因は保全をしていないから。というところから、「環境税の導入」というところに行くのですが、ここで「歳入の自治」の問題がひっかかってくるということになるわけで。
文化については「天皇還幸論」をぶちかましてはりました(笑)。これについては、あとで、コリアNGOセンターの宋さんから「多文化と天皇の取り合わせはグロテスク」という意見が出されていました。
ただ、それだけじゃなくて、環境とのからみで「京町屋」をとりあげておられました。
で、「天皇」が出てきた背景には、「天皇は実は多文化」というのがあって、で、最後の「多様性」に行くわけで。
多様性にも「三題噺」というのがあって、これがおもしろかったのですが、このあたりになるとよくおぼえていない。
ただ、「よー見てはるなぁ」と思ったが、「南北問題」です。これを「ガメラがこわした町並み亜京都駅の南か北か」という問いからはじめるあたりがいいですね。なんでも、国際女子マラソンを誘致して、南北をつなぐルートで開催しようとしたらしいですが、挫折したとか。
で、とどめが、キーを崇仁と東九条に持っていって、「京町屋を崇仁に、東九条を多文化の拠点に」という構想をブチあげておられました。まぁ、向島が抜けているという意味では少々「ん〜」と思ったのですが、このあたりはあとで多文化共生センターきょうとの重野さんが指摘しておられました。
で、そういう「多文化」というか「多様性」というか「モザイク」というか、そういうのをつくりだすためには「5つのT」が必要で、その最後が「寛容性(tolerance)」だったんですね。他の4つは忘れてしまった。だれか補足してください。って、誰も見てないよな(笑)。
てな感じで、相も変わらず刺激的な論文だったんですが、いかんせん、まったくメモをとっていなかったので全部書けないのが残念ですわ。あのプレゼンのファイル、ほしいなぁ…。
で、意見や質疑の時間。
いろんな人がいろんなことを言っておられたんですが、だんだんイライラしてきました。
で、つい意見。
京都のもうひとつの側面を指摘しておきます。京都は「宴会都市京都」です!
あまりウケませんでした(笑)。
でもまぁ、玖伊屋の成立過程を述べたあと、最後に受けいれてくれているのは東九条であるということ。まさに「多文化」を実現する「寛容性」を東九条がもっているということ。逆に言うならば、K区やD大やK大には、いろいろな事情はあったにせよ、それがなかったわけです。まぁそんな話をしたあとで、ぶちかましてしまいました。
歳入の自治を考えるということは、税収のアップを考えるということですよね。
だったら、ゲイです!多文化の中に「ゲイ」と書いてあったのに、その話をされませんでしたよね。
ゲイを誘致するんです。そのために、ゲイの人たちが必要とする施策のうち、自治体単位で実現可能なものを条例で認め、京都を「ゲイ特区」にするんです!
ウケました。ここであえて「ゲイ」と言わなきゃならない悲しいところはあるわけです。ビアンもトランスも、誘致しても税収アップにはほとんどつながらない。この悲しさはおいといて、とりあえずネタを振ってみました。
でも、何人かの人は反応されていました。やっぱり、サンフランシスコを経験されていた方々なんですね。
で、逆に他の人から質問。
「あなたは自分のことを「京都人」と言っておられましたが、京都人の定義は?」
瞬間ひるみそうになりましたが、答はこれ。
「京都を現場にして、京都で何かを「しでかし」てやろうと思う人が京都人だと思います」
続いて質問。
「生まれは関係ないですね」
「関係ありません」
てところで、わたしに関連する話は終わって、やがて宴会に突入。
にしても、おもしろい人なのになぁ。残念だなぁ。寂しいなぁ。
他の人は任期満了でも再任。山崎さんは任期途中で退任。いろいろあるんだろうな。こんだけ尖っていたら。