遠距離電話

東京から、携帯に一本の電話がありました。

  • 家族が維持できている秘訣ってなんですか?

う〜ん。たぶん「勝手にやらなかった」ということなんだと思うんですよね。ていうか、わたし、ビビリなんです。なんで、勝手にやる勇気がなかったんです。パートナーの許可がほしかったし、パートナーの支えがほしかった。だから、勝手にできなかったんです。
それとね、たぶんわたし、ウソがすぐばれるタイプなんです。なので、ウソをつくの、なかばあきらめています。だって、「ホルモンやってる」なんていう特大の秘密、だまっていられるわけないじゃないですか。だから「やってない」というウソは、つきようがないんです。
まぁ、そういう勇気のなさと根性のなさが、結果的に幸いしたんじゃないかなぁと。
まぁあと、パートナーの性格も幸いしましたね。でも、パートナーの性格にしてもわたしの性格にしても、別の側面だと、すべてが災いする内容かもしれないんです。
え?うまくいってる?いやぁ…。たぶんどこにでもある家族だと思いますよ。些細なことでけんかもするし。けんかの内容?いや、「犬の散歩が先か、晩ご飯の準備が先か」とか。ホンマに些細なけんかをしていますよ。でも、これがお互いゆずれない線だったりするんですよね(笑)。

  • 職場でトランスできた秘訣ってなんですか?カムアウトはどうやってしたんですか?

カムアウトしてないです(笑)。まぁ、ほっといてもわかるから。
学校っていう職場は、性別の縛りがあんまりないんですよね。それは幸いしています。仕事の内容というより、トイレの問題とか休養室の問題とかですね。そのあたりは、あまり無理をして摩擦を起こさないようにはしていますよ。だって、自分が我慢をすればすむ程度の問題ですからね。
でも、そんなこんなでやっていると、向こうの方から「トイレはどうしてるの?」とか聞いてくれますから、「いやぁ、こっそりと(笑)」なんていう話になるじゃないですか。そしたら「使えばいいやんか」というふうに言ってくれる。そんなふうにして、ゆっくりとやってますけど…。
生徒?生徒は4〜5月は混乱しまくっていますよ。でも、6月ぐらいになれば、「いつきはいつき」でおしまいみたいです。最後まで混乱しているのは、わたしを知らない生徒たちだけですよね。
え?うまくいってる?いやぁ…。そら、もちろん「おかま」呼ばわりはさんざんされましたよ。身のすくむような思いもしんどい思いもたくさんありましたし、いまもないわけじゃないですよ。でもね、結局生徒たちの評価は「わかる授業をするかどうか」「話を聞いてくれるかどうか」みたいなところですから…。そこをやるしかないんじゃないかなぁと思うんですよね。
でもね、そうやって世間様を混乱させることができるのって、こんなことやってるわたしたちの特権じゃないですか。普通ではできませんよ。だから、混乱させたら「勝った!」って思うわけです。
え?強い?強くなんてないですよ。そら、しんどいです。でも、その時はしんどくても、あとでそういうふうに再評価をしていくことで、だんだんとそのしんどさが快感に変わっていくんじゃないかなぁ(笑)。

みたいな話を延々と1時間ちょい。
けっこう自分をまとめるのにいい機会でした。忘れる前にφ(..)。
それにしても、電話代すごいやろうなぁ…。

大阪でいろいろと…

もう、かれこれ5年ほどになる某研究所とのおつきあい。担当の方は変わっているのですが、あいもかわらずお世話になっています。
てことで、今日は午後からそこの連続講座。とりあえず、授業をおえて、大阪に行って来ました。
大阪南部の某駅に着いたのがお昼前。いつものお好み焼き屋に行こうかと思ったのですが、ガード下に「かすうどん」とあるのを発見。意外なことに、まだカスうどんを食べたことがないんで、とりあえず食べてみることにしました。う〜ん。おいしいのはおいしいんだけど、カスが少ないなぁというのが感想です。
で、そのあと話。2時間半あるので、かなりゆっくりしゃべれました。もっとも、「前人未踏」の場所*1までは行きませんでしたけどね。
話をしたあと、しばらく時間があったので、リバティ大阪へ。自分の写真のパネルを見に行ったのですが、まぁ地味なこと地味なこと。わたしの写っている写真はあの中に2枚あるのですが、一枚は単なる会議の議長をしているところ*2。もう一枚は後ろの方で呑んでいる写真*3。しかも、間には「華」のある方の写真があったりして、これはもう、完敗か。途中数人の方がセクシュアルマイノリティのコーナーに来られましたが、みなさんじっと見るのは、やっぱり「華」のある方の写真でした。

*1:早い話が、レジュメの後半2/5

*2:STNの会議の写真

*3:玖伊屋の写真

某ミーティング

夕方から、人と会う約束でした。なんでも、若年層トランスとか。でも、話を聞いていると、どうもゲイっぽいです。
どうやら、教員が「男性に性的指向が向いている」というところから、「じゃぁ性同一性障害なんだ」と決めてしまったみたいで、本人は自分のことをどう考えたらいいかよくわからなくなったみたいです。本人に、トランスとゲイの違いを伝えて、「ゆっくりと考えてね」と話しました。
しかし、困ったことや…。

午後のテーマは「性的少数者問題と学校教育」だ…

午後のテーマは、タイトル通りです。トランス・レズビアン・ゲイと3人も来てくれ、えらい豪華メンバーで話をされました。
まずは、前フリから。「「普通」の人が「変態のかわいそう」な人のことを聞く/なんとかしてあげるという発想では、この問題は解決しない」と、いきなり剛速球を投げてきました。すげぇ…。あたしゃ、まずは変化球から入るけど、すごい度胸です。でも、高校の教員なんて、これくらい言わなくちゃ効かないんですけどね。もっとも、これくらい言うと、逆にすねて聞かないという話もありますけど*1
で、前半は「知識」中心の話。ちょっと固かったけど、自分たちの話をまじえながら話してくれているうちに、だんだんと座も和んできて笑いもでてきました。いい感じです。
後半は、自分たちのライフヒストリーをカミングアウトを中心に話をしてくれました。また、セクシュアルマイノリティのおかれている状況にも簡単にふれながら、学校教育の課題についても話されました。3人とも若い人たちだったので、学校時代のことはかなりフレッシュな感触ですごくよかったです。
で、約2時間半の研修が終わったのですが、自分が話をするよりもよっぽど緊張をしました。

*1:自戒の念をこめて(笑)

若年層トランスに必要なことは?

いま、兵庫県の小・中の先生方の間で、GIDのことにすごく関心があるようです。まぁ、当然といえば当然ですけどね。一方、新聞の影響もあって若年層、特に小学生段階でも自分の性別に疑問を持つ子が顕在化をしているみたいです*1。そんななか、先日突然、兵庫県の西の方にある街に漫談をしに行くことになってしまいました。
まぁ、漫談はいつもの通りで、それなりに和やかな会になったんじゃないか、と。
で、終わった後、ある人が小学生@たぶんトランスのことで相談に来られました。
やっぱり、直接かかわる人はすごくしんどいみたいです。一方で「えっ!」という驚き。そして、整理しようのない自分自身の思い。さらに、それでもサポートしたいけどどうすればいいかわからないというとまどい。
そんな気持ちをぶつけてこられました。
う〜ん。で、返したこと。
いつも思うことなんですけど、どんな発達段階であっても「なにが我慢できて、何が我慢できないのか」ということを明確にすることが大切なんじゃないかなぁと思うのです。もちろん、それって変化をしていくものだと思うのです。その変化に柔軟に対応していくというか、否定しないこと。あと、できるだけ実現できるようにすること。
「否定」や「実現の阻止」をされると、必要以上に「やりたい気持ち」が盛りあがってしまうように思います。そうすると、冷静な判断ができなくなります。なので、「実現する」ということ、あるいは「試すことができること」って大切なんだと思うのです。そんな中で、自分のありようと向かいあえる状況をつくることなんじゃないかなぁ。
あと、他のことでも言えることだと思うのですが、ある事柄に対して派生的に出てきたことについては、一般的な対応で効果がないかどうかを検討することも必要かな、と。
具体的には、トランジションにかかわって、他の子どもたちからいじめにあうようなことがあるだろうと思うのです。その時に、「トランジション」というところに原因を求めながら対応をすべきか、トランスであるないにかかわらず一般的な「いじめ」の問題として考えることはできないかということです。これは、簡単に言うならば、スポットを「いじめる側」にあてるということです。
まぁそんなことを、2時間ほどいろいろ話しあってみました。
いずれにしろ、「どうしていいかわからない」状態から、「とりあえず話を聞いてくれる人がいた」という安心感が持てるところまでは来られたようです。
相談の一番大切な意味は、実はそこなのかな。つまり、若年層トランスをサポートする人自身が楽になること。

*1:あくまでも顕在化であって、それまでは潜在化していたんだと思います。自分の表現方法を、とりあえず獲得できるようになったという意味では、あの連載は、すごく意味があったと思います。

恥ずかしいものつくっちまった…

本棚を見ていると、卒業アルバムがずらり。考えてみると、自分の人生の半分をこの職場で過ごしているわけですから、自分の人生の半分分の写真が、少なくとも1枚は一冊一冊の中にあるわけです。てことは、自分の変化の時系列があるはず…。
てことで、わたしのアルバムをつくってしまいました。あまりにもはずかしいので、直リンはしません。ここから行って下さいね。

タイミング

この手の交流会で、やっぱり困るのはお風呂です。部屋についてはすでに問題(笑)は解決しているんですけどね。
実は、今回の交流会では、部屋割りについて、性別欄に「男じゃない*1」と書いてあったにもかかわらず、男部屋にされていました。「はぁ…」と思ったのですが、友だちの女性教員達が「あれ?部屋割りが違うやん」「うちの部屋に来たらええやん」と次々に言ってくれて、無事、女性部屋に入れました*2
ところが、お風呂はやっぱりこうはいきません。みなさんには「あ、台所のシンクに水をはって入るし」とか言っていたのですが、やっぱりしょせんは無理とあきらめていました。ところが、プログラムの隙間で見事に誰もお風呂に入っていない時間がありました。すぐさまお友だちの「取り立て屋さん(なつかしい…)」が「前で見張っていたげるし」言ってくださったので、ご厚意に甘えて久しぶりに大浴場にはいることが出来ました。うん、めっちゃ気持ちよかった。

*1:これが最近のわたしの性自認

*2:部屋割りをした人は知っている人なので、「まぁ、わたしらみたいな人間は階段の踊り場がいちばんふさわしいんですけどね(笑)」などと言ったのですが、どうも皮肉に聞こえたみたいで、えらい謝ってはりました。

2人会はむずかしい

午後は水口町でま゛さんと2人会。最初のウチは掛けあい漫才をしようと話をしていたのですが、考えてみると2人ともピン芸人、しかも漫才をしようにもふたりともボケなんで、つっこみのないままに延々と話が延びそうです。なので、漫才は断念して、2人会にすることになりました。
とりあえず3時間もらっているので、ま゛さんからライフヒストリーを1時間、わたしからそれを解題する内容で1時間、最後に2人でまとめを1時間するという時間設定をしてみました。
ところが、午前のスケジュールが延びたということで、午後の時間は2時間40分に減っていました。時間がオーバーフローする悪寒…。
で、2人会の開始です。
ま゛さんは、淡々と細かくネタを振ってきます。ネタの種類を変えながら、どの人にもまんべんなくウケるよう振っていくあたりは、わたしにはマネのできない話術です。しかも、ネタ帳もきちんとつくっておられます。アドリブが信条のわたしには、これもまたマネができません。ひとしきり話を振ったところで「お後がよろしいようで」でちょうど1時間。すごいなぁ。
休憩後、わたしの番です。
基本的にわたしは「基礎知識」的な話をするはずだったのですが、自分のことをなにも話さずにというのは無理です。なので、自分の話を織り交ぜながら「重箱」について説明しました。ところが、アドリブ人間の最大の弱点が露呈していきます。小ネタで終始すればいいものを、大ネタをいくつか入れてしまったために、後半になればなるほど時間がタイトになります。で、結局、ま゛さんにあやまりながらも、10分間のオーバー。まとめの時間が15分しかありません。
このタイトな時間の中で、ま゛さんはいつものプリントできれいにまとめ。わたしもなんとかまとめて5分オーバーくらいでなんとか終了。はぁ、まいった…。
終了後、近くで少し時間調整をしたあと、懇親会。みなさんの注文を聞いていると、みなさんノンアルコール系の飲み物です。アルコール系はわたしだけ。最近は喫煙者が肩身がせまい話は聞きますが、飲酒者も肩身がせまくなってきているんですね。寂しい…。
懇親会の途中から、研究会の事務局長(たぶん)も参戦。この人がまた、「造花はダメ」というええ感じの人です。脳みそが裏返りそうな話*1を連発しながら、素面の懇親会は大盛りあがりをしました。
帰りは、草津まで車で送ってもらえることに。助手席にま゛さんに乗ってもらって、わたしは後部座席。おかげさまで寝られました。駅に近づいてふと目が覚めると、検問です。思わず緊張するのはなぜ?それでも無事、検問を通過して、ようやく駅にたどりつきました。終電より1時間ほど前に家に帰着。寝よう。あしたはまたまたハードやしなぁ…。

*1:ふくらみはじめた胸がタンスにあたると痛いとか、ノーブラだとこすれるとか

場所を変えて作戦会議

ここから電車に乗って次の場所へ。久しぶりの精神神経科です。今日は作業療法の人たちもおられるようで待合室は大にぎわいです。わたしとしては友だちがいないので、少々寂しかったですけどね。
一人待ったあとすぐに診察室へ。その後、2ヶ月の間にあったさまざまなことについてちょと話。なかでも、トランスジェンダー生徒交流会での話はやっぱりしておかなくちゃならないだろうと思いました。
感触としては、FTMとMTFの非対称性がすごく気になったんです。FTMの生徒たちは、友だち関係もそれなりにこなせているし、トイレや更衣室もそれなりにこなしています。それに対して、MTFの生徒への周囲のバッシングはかなり厳しいものがあります。なにしろ、足の毛を剃っているだけでまわりはヒソヒソ話をするし、上級生や下級生がわざわざ教室をのぞきに来るなんていうこともよくあることのようです。もっとも、このあたり、よくわかりますけどねえ。
というのは、わたしだって同じような経験はたくさんしているんですよね。それを、無視をしたり、笑って過ごしたり、落ち込んだりしながらだんだんと慣れていく。慣れていくにつれてダメージも少なくなるし、そのころになると逆のそういうバッシングもなくなってくる。そこまでの数年間はやっぱりしんどかったです。
また、わたしたちのような「ええ歳」のトランスにとってのSRSっていったいなんだろうかみたいな話も出てきました。お医者さんが言われるには、やはりなんらかの、それも一つや二つではない「恵まれたもの」がないことにはやっていけない状況があるのではないかと。それがない場合は、それ相応のバッシングにも耐えていけるだけの覚悟がないと無理ということです。これもよくわかるわぁ…。
こんな話をしながら、いつの間にか適応判定会議の話に流れていきました。どうやら、ようやく第3版に準拠した適応判定会議の状況が整ったそうです。で、近々わたしにかかわる会議もあるそうな。でも、はたしていまのわたしが本当にSRSを必要としているのかというと、どうも微妙な感じがします。もちろん、したい気持ちがないというわけではありません。でも、身に迫った優先順位を考えると、「判定会議を通ったからすぐにSRS」というふうにはいかないわけです。なにを優先し、なにをあきらめるか。ただ、問題はその選択肢が整えられているかどうかということです。
おそらく一番大切なことは、「SRSをする/しない」ということに対して自由な選択肢が与えられ、その中で「今の自分にとってなにが一番必要か」という選択を自らの意思で行うことなんだと思います。ところが、ガイドラインに準拠した形でのSRSは、適応判定会議を通らなければその「選択肢」が与えられません。そのための順番待ちや面倒な手続きはあまりにも貴重な「時間」というものを奪ってしまうだけでなく、「SRSへの渇望」にって「選択の自由さ」すらも奪ってしまうのではないかと思います。やっぱそれはあかんだろうと思うのです。
こんなことを考えるがゆえに、わたしとしてはとりあえず適応判定会議を通してやろうと思っています。そのうえで、自らの意思で選択をしたい。「適応判定会議を通る=SRSをする」ではないんだと、わたしは思います。
そんなことを話しあっているうちに、あっというまに1時間ほどたってしまいました。いつものことだけど、「次の人」にはごめんなさいです。

ヤクゲト

7月に行き損ねたヤクの処方をもらいに行きました。
午後(夕方)からの用事を考えて、朝一番に予約していましたが、着いたのは予約の5分後。すでに待合室にはたくさんの人がいます。こりゃぁ待ち時間がすごいぞと思ったのですが、けっこう早い時間に名前を呼ばれました*1。あとのことを考えて早くにまわしてくれたのかなぁ。
診察そのものは、採血の結果を見せたりして、あっという間に終わりました。その後、アンドロゲンとテストステロンの数値を調べるための採血です。看護士さんが「どちらの腕からとりましょう」と言われるので、いつもの通り「お好きな方で」と返事。注射器にたっぷりと血があるのを見て、「あ、血が苦手なんです」「大丈夫ですか?」「冗談ですけど」としょーもない会話をして、採血もおしまい。それにしても、自費でやる血液検査は高いっす。なんとかならんのかなぁ…。

*1:正確にはPHSが呼ぶんですけどね。