朝起きると…。目が覚めただけですね。今日は久々のオフなので、家でゴロゴロしながらゲンコを書こうと思うのですが、それすらもやる気が起こりません。どうしようかな…。でも、気になる研究会があります。なんといっても、江原由美子さんが来られるわけですから。
ということで、テンションあげて行くことにしました。
京都駅でダメダメ先輩と待ちあわせ。円町からタクシー飛ばして立命館大学へ。
会場に入るとほぼ満席です。「前の方、あいてますよ」って言われて見たら、一番前じゃん。どーする?ま、ええかと、一番前に座ることにしました。
まずは江原さんの話。「ジェンダー秩序と性支配」です。「差異があるから差別があるのではなく、差別を合理化するために差異がつくられる」って話は、部落の古老の「美しければ醜ければ、貧しければ豊かであれば、そこに「差別」という言辞がつく」という言葉と一致します。ただ、みょんすさんの話ほど緻密な感じがしないのはなぜなのかな。たぶん「ジェンダー」というもののわけのわからなさなのかな。それにしても、見田宗介さんへの根強い批判からここまで来ておられるというのが、とてもおもしろかったし、そこは「うんうんうん」と思いました。
続いて佐藤靜さんの話。「性差別としてのヘイトメッセージとヴァルネラビリティ――〈傷つき〉の経験をめぐって」です。佐藤さんはヘイトの対象として、身体と精神のふたつにわけ、身体へのヘイトをヘイトクライム、精神へのヘイトをヘイトメッセージと名づけて、ヘイトメッセージについてのみ分析を行うという手法をとられました。そして、精神の傷つきやすさをヴァルネラビリティとして、傷つきやすい人と傷つきにくい人の差はどこにあるのかというあたりを掘り下げようとされていました(たぶん)。んー、これ、ムズムズします。かつて書いたぐるぐるの根源の中の「共感」というのと結びつくんですよね。あとで発言しようかなぁと思ったけど、発言できるかな。
最後は堀田義太郎さんの話。「差別の範例としての性差別とその固有性 ――性差別と性支配をめぐって」です。この方、倫理学からのアプローチで差別論を考えられます。日本においては「差別論」は社会学的なアプローチがされるのですが、そこには「善悪の価値判断」はないと。つまり、社会的に分析をすることが主眼になると。に対して、倫理学は、まさに「善悪」を考える学問なので、「なぜ差別が起こるのか」だけではなく、そこの「善悪」についても考えられると。そんなあたりから、区別と差別の違いや、なぜ差別がいけないのかといった、あたかも当然のことのように思ってしまうところ、そして、いざ問われるとなかなか答えられないところについての分析をされてました。これはおもしろい。けど難しい(;_;)。
そんな3人からの提起を受けて、質疑応答&ディスカッションです。
まず、のっけからの質問。「みなさんは「性別」をどのように捉えておられるのですか?」と。うあー、どストライクの質問です。で、みなさんの回答を聞いていると、ますますムズムズしてきました。ということで、手をあげちゃいました。で、名前を言うと、いきなり佐藤さんが反応されました(笑)。なんでわたしを知ってるねん(笑)。
「わたしはトランスジェンダーの子どもたちと学校について研究をしています。わたし自身もトランスジェンダーなんですが、わたしの性別ってどこで考えたらいいのか、いつも混乱しています。IDで考えたらいいのか、身体の形状なのか、生理的なところで考えるのか、社会的な位置で考えるのか。社会的な位置にしても職場で考えるのか家庭で考えるのか。仮にそれぞれの要素がふたつしかないとしても、それらがバラバラなので、ある言説に出会った時に、わたしは「自分がそこにあてはまるのかあてはまらないのか」と考え、いつも混乱するのです。そのことは、わたし自身のヴァルネラビリティとも関係します。つまり、〈傷つく〉資格があるのかないのかということです。ある言説に出会った時に、たとえそのことで〈傷つく可能性〉があったとしても、「自分は〈傷つける〉側じゃないか」といつも考えるんです。そして、自分の要素のうちに、ほとんど必ずと言っていいほど〈傷つける側〉がある。そう考えた時に「〈傷つく〉資格はない」と考えるから、傷つきにくいんです」(だいたいこんな感じ。もっと混乱してたから、ここまできちんとは話してませんがね^^;;)。
それに対して、江原さんからは「あなたが話す性についての要素は、いま論議されている要素をほぼ網羅している。それらにズレがあるあなたは、あなたにしか見えない性についての観点を持つ可能性がある」と励ましてくださいました。なので「パトリック・カリフィアあたりが言ってることですね」と返しましたが、マニアックすぎたかな。
その後、傷つきやすさについての論議をもう少していねいにしたかったんだけど、「差別/被差別」という言葉を使っちゃって、混乱させてしまいました。あそこは「支配/非支配」を使うべきだったな。
でも、終わってから「すごくよくわかった」って人が来られて、なんとなくうれしかったです。
帰り道、ダメダメ先輩から「いつきさん、安田直人でしたね」と言われて、我ながら「なるほど」と。結局、そこなんだな。
ということで、すんごい刺激的でおもしろかったけど、脳みそ疲れました(笑)。