いま、授業は鉄火場です。いい成績をとってる子はまぁいいんですが、一度か二度、いやそれ以上コケた子は必死です。
範囲は「対数」。わかる子にはものすごく簡単です。だって、かけ算を知らない人のためにある計算だもん(笑)。でも、わからない子にとっては撃沈もんです。なにせ、ふだん四則演算で過ごすのがやっとな子に、いきなりすべてを指数で考えろというわけですからね。ありがちな話ですが「2の3乗は?」「6!」「ちゃうで」「え?いくら?」みたいな世界なわけです。
ちなみに、これ、「2の2乗は?」という質問は答えが同じになるからダメですね。じゃ、「2の4乗は?」もダメなんです。気づいちゃうんです。さらに「3の2乗」もダメです。「2の3乗」が引っ掛けるのにちょうどいいバランスなんです、なぜか(笑)。
で、今日のお題は「3乗根6を3乗したらいくらになるか」でした。
「3乗根6はいくらなんかわからへんねん。でも、それを3乗したらわかるねん」
「そんなん、わからへんかったらわからへんやん」
「いや、わかんねん。3乗根6ってな、3乗したら6になる数やねん。それを3乗するねん」
「え…。0?」
「ちゃう(笑)」
教室内は爆笑です。が、笑ってるヤツらの影で、ぜったい「0」とか思ってるヤツがいます。幸い、この子は爆笑にめげるヤツではありません。それよりも「これがわからなかったら、今年の数学終わるし、クラブでけへん」と思ってくれるタイプです。
「そやし、「3乗したら6になる数」^3はいくら?」ってことなんやで」
「あー、ゴチャゴチャしてきたー」
「じゃ、「3乗したら6」がわからんから、?であらわそか。てことは「?^3=6」やんな」
「あ、あ、あ…」
「で、この?が「3乗したら6」なんやし…」
「あ!6!」
「やったぁ!」
クラスは「おー」とどよめいてます。
「じゃ、3乗根6を6乗したらいくら?」
「36!」
「っしゃ!カンペキや!」
と、向こうの方から
「せんせい?」
「なに?」
「こいつ、3乗根6は6の1/3乗で、それを3乗したら1乗になるから6って言ってるんやけど、それでもええか?」
「もちろんええよ」
「あ、そっちのほうがわかりやすいわ」
「そらそや。だから指数法則なんていう法則があんねん」
1年にほんの数えるほどしかない、でも、「これやってるから教員やめられない」というほど、わくわくする時間でした。だって、子どもが必死でものを考えて、もがいてもがいて、そして自分で気づく瞬間に立ち会える仕事は、ほかにそうそうありません。
と、ちょうどチャイムがなりました。
「今日はいい時間を過ごさせてもらったわ、ありがとう。じゃ、またあした!」
「6!」というのを読んで「6の階乗」と思ってしまった。
おっと!
それはそうだ^^;;