今日は午前も午後も出張です。まぁ午前が出張なのは助かります。一部例外を除いてですが。ただ、どうやら昨日の夜にA〇澤さんからメッセージが来ていたみたいで、それについて調べてしまったから、起きた時間は一緒ですね。ただ、家でゆっくりできるのはありがたいです。
てことで、朝は少しゆっくりして、第2のふるさとへ。今日の議題は学力をめぐる話です。
最近のテスト問題って、めちゃくちゃ文章が長くてまわりくどい。結論はたいしたことないのに、無駄に迷走するようにしてある。でも、日常生活ではそんな文章に触れる機会はない。そしたら、そんな文章を読解する必要なんてないじゃないかと。今、必要とする学力ってなんやねん、また、求められている学力ってなんやねんという話。
そこでわたしにいきなり質問が飛んで来ました。
F「iphoneの操作って、どういう力が必要なんや?」
えーと…。
い「学力はいらないです」
F「そしたら、どういう力が必要なんや?」
い「直感ですね」
F「そやな。取説ないもんな」
い「わたし、androidとipad使ってます。androidは、ファイルをどこに保存するかを自分で選択します。なので、どこにあるかが把握できる。でも、ipadは自動的に保存してくれるから、わざわざ保存先を選択する必要がない。わたしはそれがものすごく使いにくい。自分で把握しておきたい。でも、一般的には勝手にやってくれる方がいいらしいです。まぁマニュアルミッションか自動運転かって感じですかね。わたしはマニュアルミッション派ですけどね」
みたいな。
おそらく、今、「ユーザーとして」生きるだけなら、巷でテストに出てくるような学力は必要ないです。てか、ほとんどの人はスマホやタブレットにワープロや表計算などの機能は必要としていない。使うのはカメラとSNSや動画配信サービスへのアクセスかな。あと、クリエイティブな人は写真の加工とか、動画編集や作曲かな。これらも直感的にできて、高いクオリティのものが完成する。理論や理屈はいらない。これらを触るのに、テストに出てくるような学力は必要ないです。
てことは、例えば就職時に
「表計算ソフト使えますか?」
と聞かれる。すると
「使えません」
と答える。すると、表計算ソフトが不要な仕事にまわされる。そして、表計算ソフトを使う仕事には一生つけない。別に表計算ソフトを使う仕事がえらいとは思わないけど、選択肢の幅が狭まる。
一方、ややこしい文章につきあえる忍耐力と読解力がある一部の人間は「ユーザーではない」生き方も選択できるようになる。それはもしかしたら「提供する側」になるかもしれない。提供する側って、デバイスを通して「ユーザー」をコントロールする側、つまり社会をつくる側だったりします。
こうやって、多くの「ユーザー」と、一部の「提供する側」をつくる。その選別のために、ややこしいテストがあるんじゃないかなと。
問題は「楽しく使えればいいじゃん」という世界が確立していて、そういう人は「だから読めなくていいじゃん」という価値観も確立している。だから、人々は積極的に「ユーザー」になり、消費する側にまわる。こうやって、人々は二分されていく。
デバイスが使いやすくなることによって、例えば障害者が社会にアクセスしやすくなるというメリットはもちろんあります。それはそのためにあればいいはずなのに、でも、それを利用して人々を二分するという新自由主義的な目論みを持った「誰か」が、この社会を誘導していく。
もしもそう考えることができるなら、あらためて「学力ってなんだ」という古い問いが、ここで再び浮上してくるんじゃないかな。
そんなことを考えた午前でした。
午後は近場の人権教育担当者の会議です。まぁいろいろと論議をしたあと、最後にビデオ動画視聴。「君が僕の息子について教えてくれた」の前半です。
とてもいい映像ですね。ただ、これを子どもたちはどう捉えるか。
紹介してくれた人権担当者は、自校の生徒が、例えば電車で「それらしき人」に会ったときに、今であれば「キモい」とか、下手したら写真を撮りかねない。でも、この映像を通して、「そういう人なんだ」と認識を変えてくれたらという期待を持っているとのこと。うちの生徒も同じことをやるだろうから、とてもよくわかります。ただ、それはそれでなんだかなと。「当事者」に着目することは、えてして「感動ポルノ」になりがちです。なので発言。
「あの映像には、本人と母親と作家の3人が出てきますよね。その誰に着目するかが大切なんじゃないかなと思います。わたしは作家に着目します。なぜなら、コミュニケーションを取りたいと思うなら、取りたいと思う側が相手に合わせることが必要だと思うからです。もちろん、コミュニケーションをとるのが苦手な人がコミュニケーションを取りたいと思った時に、その人がなんらかのツールを使うのはいい。それは、その人がコミュニケーションを取りたいと思っているから。でも、わたしたちは、つい、コミュニケーションが苦手な人に対して、「そちらが合わせろ」ってやってしまいがち。それは間違っていると思います。やはり、コミュニケーションを取りたいと思う人が相手に合わせる必要があると思う。その時、作家の態度が参考になる気がしました」
みたいな。もちろん読み筋は「ある時聞いた講演」です。
そんな感じで午後の会議も終了。
お次は夜の仕事です。最寄りの路線が人身事故で止まっていたのでどうなるかと思ったけど、全部止まっていたから、運転再開したら、定時運行になるという不思議です。なので、やってきた電車に乗って、仕事場へ。余裕で間に合ったので、メールを一本。
で、お仕事開始。今までは、わたしが話をすることが多かったけど、今回からは学生さんに話してもらうことにしようかなと。なので、ディスカッション中心の運営をしてみました。さすがに皆さん、いろいろおもしろい意見を出されて、すごく参考になりますね。みんなで考えるってこういうことなんだなと、あらためて思いました。
そんなこんなで1日が終了。約12時間、脳みそを使い続けたな。さすがに疲れました。ビールが恋しいな。