今日は某人権教育研究大会です。去年最後かもと思ったけど、そんなこともなく、やっぱり来てしまいました。
ちなみに、今年は受付があたっているので、雨の中メッチャ早い時間に会場に到着。当然のことながら会場は開いてません。寒い中、外で読書です。てか、ベンチが屋根の外にあるから座れない。やれやれ。
そうこうするうちに会場も開いたので、受付業務開始。と思いきや、「やったげるよ」との優しいお言葉を吐いて下さる人がいたので、甘えることにしました。
午前は記念講演。去年はF川さんの予定でしたが、中止になりました。今年の講師は黒川みどりさんです。タイトルは「水平社百年の歴史と部落問題の今」。冊子にスライドが全部載ってます。おもしろそうです。
黒川さんは『つくりかえられる徴』というのを書かれていて、これがわたしの部落差別のとらえ方とか、部落問題学習のつくりかたに大きな影響を与えています。ただ、読んだかどうか覚えてない(笑)。で、話を聞くと、あちこちに「境界線」という言葉が出てきます。つまり、さまざまな形で「部落/部落外」の境界線をつくるということです。言いかえるなら「部落(民)とは何か」を研究する。そして、その時々の言説において部落民が構築されていく。もちろん、それはそのような「境界線」を必要とする社会背景があるわけです。つまり、以前の境界線が使えなくなる。するとあらたな境界線がつくられる。それが、今回は使われなかったけど「徴」なわけですね。
黒川さんの話は(いわゆる)解放令からはじまったけど、そこにおいてもさまざまに「境界線」がつくりだされていくということは、知ってはいたけど、意識していませんでした。自分の部落問題学習のスライドが、もう少しつくりこめるかな。いや、やめておきましょう。わたしが知っていて、それを認識しながら話をすることが大切です。わたしは数学の教員ですから、部落史「を」教えることはできない。部落史「で」教える。そのために必要な知識だったな。でも、自分のとらえ方でいいということを、あらためて言ってもらった気がします。
講演のあと、控え室に乱入してみました。
実は、黒川さんとは1年半前にお会いしています。ただ、この時は黒川さんは忙しかったらしく、すぐに帰られました。なので、認識されているかどうか…。と思ったら、きっちり覚えておられて、恐縮しまくりです。
しばし話をして、でも、すぐに帰られました。静岡ですしね。
てことで、昼ごはん。今日は荷物が多いのでおにぎりです。お茶を買おうと思ったけど、大きいのしかありません。どうせ飲みきれないので、水分なしでおにぎりをパクついて、最後に朝に買ったコーヒーで〆にしました。その後、知りあいと雑談。で、午後の分科会。
分科会は4本のレポートです。静かにしていようと思ったけど、やはり静かにできませんでした。
例えば1本目のレポート。「部落」と言えばいいのに「これまで差別されてきた地域」などという、まわりくどい表現をされます。まぁ、「ないこと」にするよりはいいんでしょうが、なぜこういう言いまわしをするのかな。そして「根深さ」を強調されます。わたしはあまり「根深い」と思っていないので、なんだかなと。てか、根深さを強調することによって、部落問題の特殊性をつくりだす気がしてイヤなんですよね。
2本目のレポートではコミュニケーションの問題を「コミュニケーションに問題を抱えるとされる子」に原因を求めているところにチクリ。
「ある時聞いた講演の中に「コミュニケーションって、相互行為なのに、その原因を一方にだけ求めるのはおかしい」って話を聞きましてね。ガッテンボタンを1万回くらい押したくなりまして。ガッテンボタン、ご存じですか?」
すると、レポーターの方
「今の話を聞いて、わたしもガッテンボタンを押しまくりたくなりました」
とのお言葉。話が通じてよかった(笑)。
レポートが終わってから『ソーシャル・マジョリティ研究』を推薦しておきました。
3本目のレポートが、これまたマニアックです。なんと、題材として「◯ぐみ」を取り扱っておられる。さすがにはじめて見ました。そして、部落・在日・障害といった、いわゆる「三題噺」を一切取り扱っていない。すごいな…。まぁいろいろ質問したけど、おそらくわたしとは違う感覚なんだろうなぁ。もちろん、わたしの感覚が正しいとも何とも思っていないけど、「めんくらった」というのが感想ですね。
そして4本目は夏の研究会で発表して下さった高校のレポート。これはサポート的な質問をしなくちゃね。てことで
「発達障害と日本語指導が必要な生徒を「特別ニーズ教育」とくくっておられますが、どういう経緯でそうされたんですか?」
と援護射撃。なんでも5つに分類していて、その5つ目が「その他」なので、そこに全部をぶっ込めるという(笑)。
その後、総括討論。誰も手をあげないので、これまた仕方なく
「差別の問題を心の問題や人間関係の問題にしてしまいがちなんだけど、ほんとうは社会構造や制度の問題として捉えないといけないと思う。みなさんはどんな仕掛けをしておられますか?」
と爆弾投下。さらにそれだけではダメなので
「昨年度、日本語指導を必要とする生徒が府立高校に4人しか入ってこなかった。ほんとうはもっといるはずなのに。小学校・中学校の状況を教えてほしい」
とさらなる爆弾投下。
結局、司会の人のまとめの時間を奪ってしまって、ほんとうに申しわけありませんでした。
しかし、去年は「最後かも」と思ったけど、今年は路線変更」もあるので、「どうせ来年もくるだろうな」と思いながらの終了でした。まぁでも、現役を続けているから参加できる。だから問題提起もできる。それでいいのかも。