玖伊屋の夜はバタバタしているので、ほとんど誰とも話をしませんが、朝はふと話をすることがあります。今日もそんな朝でして。
そんななかで考えたこと。
まわりの人にトランスを理解してもらうのって、すごくたいへんなことだと思います。ちなみにたいへんなのは「まわりの人」のほうですけどね。
で、カムアウトする側は、長い長い間我慢をしてきてようやく言うからきちんと伝えようとする。もちろん心の準備もきちんとして、ある程度の覚悟も決めて。ところが、受ける側は「ある日突然」です。
すると、「する側」と「受ける側」のキャパシティには当然のことながら差ができます。てことは、「する側」が「6割くらい」って思っていても、「受ける側」はキャパシティギリギリだったりする可能性があります。ましてや、「する側」が思いの丈をのべてしまうと、それは100パーセント近くになってしまわざるを得ません。となると、当然のことながら「受けとめきれない」となる可能性が高くなります。
これは双方にとって不幸かなと。だって、「する側」も「受ける側」も必死の思いなのに、それがすれ違っているからです。
じゃぁ、それをどう回避するかというと、「する側」が、「受ける側」の6割を見越して話をするしかないです。なぜなら、決定権を持っているのは「する側」だからです。
これ、たぶん「する側」にとっては、すごくフラストレーションがたまることだと思います。でも、そのフラストレーションを抱え込みながら、対話を途切れさせない営みを続けていれば、きっと「する側」と「受ける側」がともに「こんなもんか」と思える地点がくるだろうと思います。
「かなりの無理」は破壊につながるけど、「ちょっとの無理」は創造につながる。そんな気がします。
「受ける側」もナメられたもんですね。
真摯に向き合ったつもりが、「6割だけど、フラストレーションを抱え込んでるけど、対話を途切れさせない営みを続けてるんだ!」と「カムアウトする側」が思っているとしたら、ガッカリです。
もちろん、常に100%全力投球せよ、というつもりはないです。何をどこまで話すかは「する側」に決定権があります。
でも、「相手をどこまで受け止めようとするか」は、「受ける側」に決めさせてもらえないんですね。「受ける側」は、自分のキャパを勝手に「見越されて」、その6割で向き合ってもらうことしかできないんですね。それを100%と信じていても。なんという裏切り。なんというパターナリズム。
社会的背景をひきうけながら、それでも個人と対等に誠実に向き合おうというふうには、わたしには、感じられません。なんのために「カムアウト」するんですか?
「高座」とか「ネタ」というのも、自虐じゃなくて、そういうことだったのかと思うと、ほんとにガッカリです。
> kさん
そういう受けとり方をさせてしまってすみません。
わたしは「する側」に対して「100を要求することは傲慢だ」という意味で書いたつもりでした。その背景には「受ける側は6割かもしれないということを、心に刻みながら「する」必要があるのではないか」ということを考えているからです。
100のところ、まずは60くらいからと思って60喋ると。「?なんて大袈裟な、せいぜい5くらいだろ」と誤解されることが私の経験では多いですねぇ。しかもそういう誤解をする人って、後で誤解だと分かると「あんた!5って言ったでしょっ!嘘つきっ!」とこちらのせいにされる。
そうでなければ、その場では理解を示すようなことを言っておいて、その後年賀状の返事もくれなくなる人も多いし。
世の中、通じない人の方が多い。自分のキャパに合わせて誤解する人の方が、私の周囲では多数派です。
それを「謙虚のフリをした傲慢だ」と言っているのです。
「受け取り方をさせる」という表現しかり。
「100でいっても、受け止めきれなくって、不幸なすれ違いになって悲しい。だから、60くらいに抑えてしまう自分がいる。フラストレーションもあるけど、そうやって対話とつづけること」っていうんだったら、わかる。自分のなかで、自分のために100とか60とかを調節しよう、ということだから。「受ける側」の6割を見越す、って、なんで勝手に相手を解釈する? セクマイに限らず、マイノリティがマジョリティに対して、「わたしを勝手に解釈するな」って言ってきたんじゃ?
あと、カムアウトにかぎらず、コミュニケーションにおいて「100(の理解)を要求」しても、それがかなうことはありません。それでも要求する人には、わたしは、傲慢さではなく、切なさを感じます。「こっちが100説明してるのに、60しか理解できないなんて、バカ?」っていったら傲慢ですが。
> kさん
たしかにご指摘のところを読み返すと、かなり傲慢ですね。
いつもは「自分の6割」と言っているのですが、今回のエントリのように、相手を決めつけるのは、たしかにダメです。
ありがとうございます。