「さて帰ろう」とヘルメットをかぶろうとした瞬間、ずいぶんと前にうちの職場におられた養護教諭の方が歩いておられることに気づきました。そういえば、今日はうちの職場で会議があったみたいです。
なので「久しぶり〜」と近づいていくと…。
「ん?…あぁ!」という感じで気づいてもらえました。
で、近況報告とかよもやま話をしていたのですが…。
この方がおられた頃って、ちょうど、自分がトランスジェンダーであることに気づいた頃なんですよね。1997年頃かなぁ。
あの頃って、自分のことを表現する言葉を手に入れ、自分がなにものであるかがわかった頃だったんです。でも、これから自分がどう生きていけばいいのかがぜんぜんわからない。具体的にトランスジェンダーの仲間と出会うわけでもなく、存在しているのはネットでの情報だけの頃です。ましてや、わたしのことを理解してくれる人も皆無と言っていい頃です。というより、言葉は手に入れたものの、自分のことをうまく言葉化できることがぜんぜんできていませんでした。なので、まわりの人もきっと理解不能だったんだと思います。
そんなわたしの、ある意味唯一「おしゃべりができる」人だったんですよね。
あれから10年。
「最近どう?」
と聞かれて、ちょっと考えてしまいました。で、答は。
「不便することは多々あるけど、別にしんどいことは特にないんですよね」
でした。
あれから10年たって、仲間はいっぱいできました。腐れ縁とか呑み友達もいっぱいいます。もちろん、トランスの仲間だけじゃなくて、トランスじゃない仲間の人たちも、わたしにとっては大切な人たちです。そして、家族ね*1。きっとそういう人たちに囲まれているからこそ「別にしんどいことは特にない」と言えるんだと思います。
でもね、だからこそやらなきゃならないこともあるんだよね。
*1:これを忘れちゃいかんわなぁ