ルサンチマンとあこがれをもう少し

シンポの後は懇親会。懇親会の席では、いろんな人といろんな話をしたのですが、中でも最後の問いは、自分としてはとても興味があったので、懇親会の最後に明秀さんのところにいきました。
シンポの時に、わたしは「セクシュアルマイノリティの場合、階層などには関係なく普遍的に存在する。だから、すべての当事者が「権力」へのルサンチマン・あこがれを持つわけではない*1そのために、その切り口で語ることが難しいんじゃないでしょうか」ということを提示するにとどまったのですが…。でも、明秀さんにとっては、それなりに腑に落ちるところもありながら、考えるところでもあったようです。
ついでに言うと、セクシュアルマイノリティというくくりもかなり大雑把ですよね。ゲイとレズビアンとではぜんぜん違うし、トランスだってMTFとFTMではぜんぜん違う。なので、それらをひとまとめにして、一つのルサンチマンにもっていくのは相当無理があるんだと思います。でも、「MTFは「若い女性」という記号へのルサンチマンとあこがれがある」とか言われたら、「そりゃそーだ(笑)」となる可能性は大ですよね。でも、そんなもん、運動にも何もならないわけで*2、明秀さんの話との接点は持ちにくいだろうなぁ…。

*1:逆に言うと、持つ人「も」いる。

*2:逆にジェンダーバイアスにまみれている話なわけで…

日本解放社会学会

朝、いつもとさほど変わらない時間に京都駅へ。目指すは八条口バス乗り場です。バスに乗った行き先は、なぜか松山(笑)。しかし、なんでこんな日にと自分でも思うのですが、まぁそこはそれ、「忙しい時こそ時間ができる」んです(笑)。
で、向かったのは日本解放社会学会。なんでもシンポジウムをするとか。それにしても、一介の算数の苦手なしがない高校数学教員が、なんで社会学の学会のシンポに出るハメになるねんとは思うのですが、そうらしいです。
会場に着くと、なにやらわさわさと出てくる一団がいます。見てみると、シンポの関係者です。なんでも、昼ご飯を食べながら打ちあわせをするとか。ほなわたしも行かなきゃなりませんやん。てことで、ついていきました。実際には打ち合わせもほとんどなく、互いに自己紹介をしておしまいという感じ。
で、シンポ。
トップバッターは、加藤Kさんによるレインボーカレッジにかかわる実践報告です。学生が動くのっておもしろいですね。Kさん自身も若いので、サークルのノリがあっていい感じです。
続いて、堀江有里さんによるカミングアウトをめぐる考察です。「語ること」と「隠すこと」の間についての考察をしておられたのですが、ぜんぜんわかりませんでした。みなさんきっとむずかしいことを考えてはるんやろなぁ、と。
で、最終バッターがわたし。自分のことをちょこっとしゃべって、トランスジェンダー生徒交流会のことをちょこっとしゃべって、最後に「トランスという生き方」についてちょこっとしゃべっておしまい。なにに感動したかというと、ひとつは「わたしでも25分で終われるんだ」ということ。もうひとつは「学会でもネタを振ったらウケる」ということ。

で、休憩。
ずっと気になっていた人がいました。前の方で、暖かい雰囲気を出している人。う〜んとずいぶん考えて、ツツッと寄っていって声をかけました。「仲間ですか?」。すると「はい」という返事。やっぱり、金物を見わけるのはむずかしいです(笑)。
休憩の後は、会場も交えたフリートーク。いろいろ質問や意見も出たんですが、なかでも興味深かったのが、金明秀さんから質問でした。
「在日であれ部落であれ、「権力に対するルサンチマンとあこがれ」というのを感じるんだけど、セクシュアルマイノリティにはそれが感じられない。それはなぜなのか?」
なるほど…。
単純に「いや、権力に対するルサンチマンとあこがれはあるのです」という答えはもちろん「あり」だし。実際そうだと思います。でも、はたしてあたかも一枚岩みたいな感じで「あります」と答えられるだろうか…。あるいは、それは「権力」なんだろうか…。

懇親会の後は、宿に移動。って、温泉だよ(T_T)。
その後(笑)、わたしを今回誘って下さったとしばしビールを飲んで、お休みなさい…。