3分間スピーチ

朝、メッチャしんどいです。思わず1時間年休をとろうかと思ったけど、起きてしまったから出勤することにしました。
午前中は、昨日考えた今日の夕方にある3分間スピーチの原稿の最終チェックです。なにしろ、オチがうまくつかない。まぁ難しいんですけどね。それでもなんとかひねり出したところで、実際に3分で読めるかどうかをチェック。
基本的には1分400字と言われています。400字詰めの原稿用紙はそこから来ています。ちなみに、誰が読むかというと、NHKのアナウンサーです。それよりも少し多い。どうなるかなと思ったら3分30秒ぐらいかかってしまいました。ダメじゃん。てことで、原稿をブラッシュアップ。最終的に3分10秒ぐらいまでは削れました。
てことで、授業です。しんどい。眠い。午後の授業はプリント学習なので、まぁなんとかなりました。
てことで、ipadをかついで補習の教室へ。実は、赤点者の追認補充の最中にスピーチをするハメになっています。しかし、某国営放送の取材の時も追認補充だったな。よくよくこういう巡り合わせのようです。が、なんかipadでつなぐと音が出ないっぽいです。まいったな。しかたないので、自分のPCにwebカメラをつけてzoomに参加することにしました。
4時半きっかりにイベント開始。5分間のあいさつのあと、スピーチ開始。わたしは4番目です。ところが、補充の対象者が来ない。スピーチしている最中に来たらちょいとめんどくさいです。ドキドキしたけど、来てくれました。てことで、等比数列の一般項の説明だけ簡単にして、スピーチ開始。こんな内容を話しました。

みなさん、はじめまして。京都の公立高校で教員をしている土肥いつきです。今回はこのような機会を与えていただき感謝しています。なお、本日は昨年度数学Bで赤点をとった生徒の補習中なので、教室から参加させていただきます。
わたしは出生時に書類に記載された性別とは異なる性自認を持つトランスジェンダーの生徒たちが集まる交流会を大阪で開催しています。2006年から現在まで15年間やってきました。現在、交流会には保育園や幼稚園に通う小さな子から高校生までが参加しています。スタッフはいません。でも、卒業生たちや保護者、交流会に来たいと思うおとなの参加者たちが自主的に運営を手伝ってくれています。
トランスジェンダー生徒の人数はとても少数で、日常生活を送る上でピアな存在と出会うことはほとんどありません。わたしはそのような子どもたちが出会える場所をつくりたいと思いました。現在は年4回の定例会と年1回のキャンプをしています。キャンプでは海水浴をします。トランスジェンダーの子どもたちは、ふだんなかなか好きな水着を着られません。そんな中、キャンプではみんな着たい水着を着て海水浴を楽しんでいます。
普段の交流会ではみんなで昼ごはんをつくって、みんなで昼ごはんを食べて、近くの公園で鬼ごっこなどをして遊びます。その後、学校での悩みなどを話し合います。悩みの内容は、例えば制服のことや更衣室、修学旅行の部屋割りなど、多岐にわたります。先日の交流会ではトイレについての悩みが語られました。ある参加者は「多目的トイレとか、許可されんでも使えるし!」と言いました。それを聞いたみんなは大爆笑しました。大切なのは、この言葉をひとりでつぶやくのか、みんなの爆笑の中で語るのかという違いだと思います。参加者の中には、そんな悩みを克服した生徒もいます。例えば4月の交流会で、突然ファッションショーがはじまることがあります。自認する性別の制服を勝ちとった喜びをみんなでシェアします。そういう先輩の姿を見て、あとに続く後輩たちも、悩みの克服への希望とパワーをもらいます。
実はわたしに交流会の大切さを教えてくれたのは、部落の中でおこなう学習会や在日外国人生徒交流会に集う子どもたちの存在でした。そして1997年に、わたしは自分がトランスジェンダーであると知り、10年かけて性別を変えてきました。そんなわたしのところに、2003年頃からトランスジェンダー生徒たちから悩み相談のメールが来るようになりました。その時、自分の後輩たちのために交流会をしなくてどうするんだと思ったのです。
ひとりで抱え込むと一本の道しか見えません。その道が閉ざされると絶望しか残りません。しかし、他のトランスジェンダー生徒と出会うことで、実はさまざまな道があることに気づきます。これまでたくさんのトランスジェンダー生徒たちが、交流会を通して、自分と出会い、他者と出会い、社会と出会い、その社会を変えていくパワーを互いにわかちあってきました。そして交流会から社会へと飛び出していきました。
出会いは世界を広げていきます。

てことで、無事スピーチも終了。あとは補充だな。