日常へ

黒潮町の方に中村まで送っていただき、汽車に乗ります。太平洋の横を通り、大歩危小歩危を通り、瀬戸大橋を通り、本州へ。そこはわたしにとってのいくつめかのふるさと・岡山*1です。
で、今回も岡山では降りず、K本さん@長崎やK久保さん@高知なんかがいるであろう神戸にも降りず、日之出でも降りず、ようやく京都に帰ってきました。
空を見上げると、すでに秋の雲。さぁ、あしたから日常がはじまる。

*1:岡山は、かつて日教組教研で「はじめまして −ゲイの彼に出会った日−」というレポートを出した場所であり、中島豊爾さんと出会った(わたしの初診ね)場所であり、はじめてG研に参加した場所なんですよね。でも、それ以来行っていない(笑)

死のロード・5日目・お墓参り

宿毛に来たら、どうしても行きたいと思っていたところがありました。池上誠(いけのうえまこと)さんのお墓です。
池上さんの結婚差別事件については、結婚差別についての教材づくりをしたことがある人なら、必ずと言っていいほど出会うんじゃないかと思います。わたしも「宇治のモミジ谷」という地名と、震える手で書いた
「くやしいよ、お父さん」
という涙でにじんだ文字は、わたしも何回も見ました。
詳しいことについては、川口くんのブログに譲ることにしましょう。
今回宿毛に来ると決まった時から、絶対に行きたい。お墓の前で手をあわせたいと思っていました。
M越さん*1の紹介で、池上さんの出身の隣町の隣保館の館長さんに案内をしてもらいました。
宿毛市郊外の小高い丘の上にお墓はありました。

なんでも昔はもっと奥の方にあったのが、墓地の移転に伴って、最近こちらに移されたとか。
裏側にまわります。

一九七二年五月三日
差別への悲憤に自ら生命を
絶った若者ここに眠る

死の果てにやすらぎはない
生の闘いの彼方にこそ
部落の解放があり 自由が
ある
若人よ
ふたたび悔恨と挫折の道を
歩むな 起って 人の世の
熱と光を求め続けよ
一九七二年十月
部落解放同盟建立

とあります。

結婚差別についての授業資料をつくる時、よく
「そんなに古いのじゃなくて、最近の事件はありませんか?」
と聞かれることがあります。その言葉を聞くたびに、わたしは悲しさを通り越して怒りすら感じます。
死ぬのは一人でたくさんです。いや、一人の命もなくなってほしくない。にもかかわらず、これまでにどれほどたくさんの人が、結婚差別にあって、命を自ら絶ってきたことか。
池上さんのお墓の前で手をあわせながら、そんなことを思い出しました。
昨日の長浜のお墓のこと、今日の池上さんのお墓のこと。うちの子どもたちに、そして生徒達に伝えたいなぁと思いました。

*1:前のエントリの2番目の人で、いつも高知に行くとお世話になる人